「どうせ」発言を見逃すことは、子供の一生を左右する大問題だ

 

 3.チャレンジ意欲が持てる

自己肯定感の高い子は、自分自身に信頼感・安心感があります。なので、自分の興味・感心についても肯定的に捉えることができます。自分が興味を感じたこと・関心を持ったことに対して、スムーズに活動意欲が引き起こされあれこれとチャレンジする──という流れが、自然と起きやすいのです。

そこで発生する子どもの行動は、大人の尺度では「無意味なこと」「意味不明な作業」「ロクでもないイタズラ」と見えるかもしれませんが(^_^;)、大切な子どもの体験です。数々のチャレンジの結果、子どもは「いろいろな体験を得る面白さ」や「成長につながる喜び」を知っていきます。そして、そうした感覚を得た子どもは、さらにチャレンジ意欲を増す──という好循環に入っていくのです。

一方で、自己肯定感の低い子は、他者から評価してもらうことでしか自分の価値を見出せない傾向があります。「えらい」「すごい」「じょうず」と言われていれば安心、言われていないと不安、そんな状態です。そんな子にとって「失敗」とは、他者からの評価が下がる──つまり、自分の存在価値が危機にさらされる、恐ろしいできごと。決して起こしてはならない事態です。だから、失敗につながる恐れのあること──新しいことへのチャレンジすべて──は、「やらないと判断するのが自然な流れとなってしまいます。つまり、チャレンジ意欲が持てないのです。

  • チャレンジ意欲が持てない→チャレンジしない→新しいスキルが身に付かない→自信が持てない

…の悪循環に入ってしまいやすく、非常に心配です。

4.折れない心・打たれ強さが育つ

同じ理由で、失敗やトラブルに出遭った時にも、大きな違いが生まれます。自己肯定感の低い子が失敗すると、いとも簡単に落ち込んでしまいます。前述のとおり、こういった子にとって、すべての「悪い結果」は自分の価値を減じるできごと。「ボクってダメな子だ」と、すぐに自信喪失・さらなる自己肯定感の低下につながってしまうのです。

一方、自己肯定感の高い子は、失敗やトラブルが自己否定に簡単につながることはありません。自分自身はOK、でも目の前には失敗の事実──こういう状態から導かれる思考は、「やった内容/やり方/タイミングが悪かった」という方向になります。そこからは自ずと「では、次はどんな内容/やり方/タイミングでやろう?」という発想が生まれてきます。こうした流れに乗った子が、他者からは「折れない心を持った子」「折れてもすぐに立ち上がれる、しなやかな強さのある子」と見えるわけです。

こんなふうに、自己肯定感のある・ないは、失敗への受け止め方に大きく影響します。自己否定の根拠にしてしまうのか、次なる成長の糧にしてしまうのか。この違いは、非常に大きいです。子ども時代を越えて、大人になっても大きな違いをもたらす点なので、強く心に留めておいていただきたいポイントです。

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