なぜ最高裁は理事会がマンション理事長を解任できると判断したか

 

標準管理規約で、理事の役職は理事会で決めるとなっているのは、役職の交代が迅速にできないと運営上困るという管理組合の事情も配慮されてのことだと思います。解任というようなものでなくても、理事長が転勤や入院等で務められなくなれば、理事長の交代も避けられません。その度に、総会を開くのはたいへんなので、理事会で決められる規定になっているのだと思います。理事に欠員が生じた時の補充も、理事会でできるような規定にしているところもあります。

そういった、理事会で誰も反対しないやむを得ない事情がある役職変更と、何か大きな決断を巡る対立による解任で、解任される本人が納得していない場合を同じに考えていいのかという問題があると思います。

私は、後に訴訟に発展する可能性があるような管理組合の方針を巡る紛争が理事会内部であった場合は、それを組合員が知った上で判断する機会が与えられるべきではないかと考えます。

最高裁判断が示されたことで、今後、標準管理規約も見直され、選任だけでなく解任も理事会の多数決でできるという規定が入るのではないかと推測されます。といっても、理事長を理事会の多数決で選任も解任もできるとする規約の定め方がほんとうにベストなのか、組合員の知らないところで、理事の内紛が起き、理由も知らされないで理事長が解任されるというようなことで本当にいいのか…。

1票差で理事長が解任され、不条理だと納得していない平理事に戻った元理事長とそのシンパ、新理事長とそのシンパが対立しながら、理事会の運営などできるのだろうか…、理事長を含む理事の役職は理事会の多数決で変えることができても、理事そのものは総会で選任されるので、理事長を解任された人も理事としては残るのですから。

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け