ちょっと待て。「就業規則の変更」には、思わぬ困難が待っている

 

問題となるのは、「合意を得られない」場合。この場合には、次に挙げる6つの条件を総合的に判断します。判断の結果、「不利益ではあるけれど、それでもなお、合理的である」場合には、不利益変更がOKとなります。

  • 条件1:変更後の就業規則が周知されている(これは絶対条件です。周知されていなければ、そもそも就業規則に効力はありません)
  • 条件2:労働者の被る不利益の程度
  • 条件3:業務上の必要性
  • 条件4:変更後の規定の相当性
  • 条件5:労働組合等との交渉状況
  • 条件6:その他、変更に関わる諸事情

以上2~6の条件からなる「就業規則の変更の必要性」と、「労働者が受ける不利益の程度」を比べます。バランスが取れていれば、「就業規則の不利益変更」が効力を持ちます。バランスを欠いていれば、その変更は「無効」です。このバランスの良し悪しを判断するのは司法です。裁判になって判決が出るまでは、いくらバランスを欠いていても、その就業規則は一応有効です(もちろん、労基法等の法違反があってはダメです)。

就業規則の変更は、場合によっては大変な作業となります。特に、反対が強く取り付く島もない場合、就業規則変更作業は困難を極めます。しかし、就業規則を見直すことで、御社が目指す会社の姿を実現し、御社が求める人材が、「集まりやすい」「働きやすい」「定着しやすい会社へと変貌するチャンスでもあります。御社の明るい未来のために、ぜひ、チャレンジしてみてください。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、就業規則の見直しを行っていますか?」

image by: Shutterstock.com

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就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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