現代社会の決定的な弱さは、電気、水道、ガス、燃料、道路や鉄道などのインフラに拠ることだ。それらはまたネットや通信に過度に依存し、複雑に関係しあっている。ひとつのインフラがやられると、他のインフラにも連鎖して拡大し、生死の問題や社会の破綻に直結する。インフラは連鎖的な麻痺状態となる。
生きるために何より必要な水は、電気がなければ供給されない。超広域の災害ではガスの供給にも限界がある。現代人は電話連絡やデータ通信ができないと無力である。インターネット途絶で銀行の決済もできず、電子カルテを用いる病院も機能しない。ゴミや排水の処理ができない。環境省は南海トラフ大地震で最大3.2億トンの災害廃棄物が発生すると試算する。東日本大震災の約16倍である。
この地震は従来の地震の延長で考えてはならない。これまでがリスク(危険)やクライシス(危機)だとすれば、次はカタストロフィ(破滅)になる。更に最悪のケースは、南海トラフ大地震の前に首都直下型地震が来ることで、首都機能が壊滅していたら……。筆者は「減災ルネッサンス」を提起する。
それにしても、大災害に対応する政府の様子を描いた「シン・ゴジラ」はじつに興味深い映画だった。DVDを買おう。あのうっとうしい、カヨコ・アン・パタースン抜きでうまく再編集したバージョンないだろうか。
編集長 柴田忠男
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