自動車だけじゃない。ここまで来たシェアリングビジネスの現場

 

食のシェアリングビジネス

以前、このメルマガでも取り上げた、ウーバーイーツ。ライドシェアのウーバーが展開する、飲食店の宅配サービスだ。ここにも大企業が進出している。日本マクドナルドも、昨年6月にウーバーイーツを導入。自社でもマックデリバリーを展開しているが、それに加えて、という形になる。

この2つの大きな違いは、注文の下限価格。マックデリバリーでは、1,500円以上の注文に限るということだが、ウーバーイーツでは1個から注文ができる(日本経済新聞5月4日号より)。

ウーバーの特徴である、働き手のシェアリングによる、ユーザーが消費する時間節約のニーズにも対応する、顧客視点のサービスだと言える。

2015年にサービスを開始したウーバーイーツは、日本でも2016年からサービスを開始し、東京23区、横浜に加えて、関西でもサービスを開始。そのエリアを拡大している。登録飲食点数も、日本では2,000を超えたとの報道もある中での関西への進出だが、その内容もお好み焼きなど地域特性を出したコンテンツになっている点が出色だ。

ウーバーライドの方と同じで、アプリ1つで便利に使用できる点が受け入れられている上に、オフィスでも学校でも自宅でも、場所を問わないこと、マクドナルドのケースにもあるように、個数にも制限がないこと、多くの選択肢があることなどなど、ユーザーが感じる犠牲になることことごとく排除することによって、利便性を上げている点が素晴らしい。「手軽さ」が大きな顧客価値になっている。

移動のシェアリングビジネス

移動手段にもシェアリングビジネスが浸透しつつある。

まずは自動車。そもそもレンタカーも広い意味ではシェアリング。しかし、カー・シェアリングサービスが一般的になってきている。この2つの違いは、「レンタカーの場合長時間で不定期の利用が中心、カーシェアは短時間で定期的な利用が対象」(シェアリングエコノミーラボより)。

私もオフィスを探すときに、カーシェア会社と契約している不動産会社さんと主要駅で待ち合わせ、シェアする車をコインパーキングで彼が借り、乗せてもらい約10件ほど内覧し、またその駅にあるコインパーキングに彼が返す、といった具合である。

企業として契約すれば、時間単位や距離単位で、「使った分だけの料金が発生する」という仕組みだ。ユーザーのニーズに明快に対応する仕組みだと言える。

この業界の主要な企業は、タイムス、オリックス、三井不動産など、やはり大企業が顔を揃える。先述のシェアオフィスと同じく、ここでも参入企業の増加と多様化によって、競争が激しくなってきている。

こうなると各社工夫を凝らしたサービスを展開し始めているのが興味深い。面白いのは、レンタカーサービスが高級車を借りられるサービスを続々と導入してること。ニッポンレンタカーやオリックス自動車では、メルセデスベンツを借りられるとのことだし、タイムスカーレンタルでは、なんとジャガーやランドローバーをレンタルできるサービスを始めた。

以前このメルマガでも紹介した、カリトケが高級時計のレンタルサービスを開始したのと、コンセプトは同じで、買うことはできないが、ニーズや状況に応じて、ラグジュアリーなブランドを楽しみたい、というユーザーの潜在需要に対応するサービスだと言えそうだ。

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