なぜ中華チェーン「ぎょうざの満洲」は温泉旅館を経営するのか?

 

またこのお店は、ファンの間では“変わったお店”として認知されています。群馬県老神温泉で旅館を経営しているのです。看板にデカデカと「ぎょうざの満洲 東明館」と書かれています。「旅館」と「ぎょうざ」のミスマッチ、というより、違和感が凄い。

ぎょうざと温泉が自慢の宿」とも謳っています。日本旅館ではあり得ない、唯一無二の存在です。

この旅館は、「1泊朝食つき」のプランしかなく、館内の食堂は「ぎょうざの満洲」となっています。つまり、“夕食はこちらでどうぞ!”なのです。もちろん強制ではありませんが、これがユニークだと、食堂で食べる人がほとんどです。

旅館で中華料理を食べる。しかも、チェーン店。それでも、お客さまは大勢やって来ます。非常に不思議なことです。

この旅館のある老神温泉は、オーナーの出身地で、廃業した旅館を買い取ってリニューアルオープンさせています。自身の出身地にもっと人を呼び込みたいとの思いから、旅館経営に乗り出したようです。物珍しさが功を奏したのか、週末は予約が取れなくなっています。

さらに、この餃子は、埼玉県鶴ケ島市のふるさと納税返礼品にもなっています。地元の企業であるサイボクハムとのコラボ餃子です。現在の本社がある埼玉県でも地域に貢献しようとしています。

「ぎょうざの満洲」の取り組みは、そのすべてが、地方の人や地域に貢献することが目的だと捉えることができます。取り組みとその理由を整理すると……。

Q:一般農家から仕入れているのはなぜ?
A:小さな農家の収入を安定的に確保するため。

Q:埼玉のふるさと納税に登録したのはなぜ?
A:地元埼玉のPR及び活性化に貢献するため。

Q:旅館を経営するのはなぜ?
A:オーナーの出身地を賑やかな街に復活させるため。

これらの取り組みは、大都市圏でお店を展開しながらも、その収益は地方に還元するために行われているようです。これは、大都市と地方を繋ぐ、理想的な姿なのかもしれません。

大都市で儲けて、地方に貢献する。巨大化するだけが、企業の使命ではありません。人と地域に貢献することこそが、愛される企業像なのではないでしょうか。

image by: 『ぎょうざの満洲』公式インスタグラム

佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント)この著者の記事一覧

なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座 』

【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • なぜ中華チェーン「ぎょうざの満洲」は温泉旅館を経営するのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け