女子水泳と男子体操の工夫のない報道が、東京五輪を盛り下げる

 

別の問題があるのは男子体操です。

男子体操といえば、内村航平選手という絶対的なエースが牽引してきたわけですが、内村選手はキャリアの最晩年に差し掛かっています。そのことは、ご本人も意識した上で、東京という区切りを目指して頑張っているわけです。

では、東京は内村頼みなのかというと、そんなことはなく、田中がいるし、白井、萱、谷川兄弟など新しい世代も育ってきています。いわば、分厚い層がしっかり出来ていて世代交代も進行しているのです。

ということは、スーパースターの内村にしても安泰ではないのです。そんな中で、内村が代表の座を守って活躍するのか、それとも新世代が追い上げてくるのか、大変にスリリングな状況になっています。

仮に内村が東京の前に辞めるようなことになれば、それはそれで新世代が伸びたのであれば、全日本としては悪いことではないし、内村が意地を見せて残れば、それはそれで大きな精神的な核になるでしょう。

そのような男子体操の熱気もあんまり報じられていないように思います。その他の競技も含めて、面白い戦いがすでに白熱しているのですが、報じ方に工夫が必要ではないかと思うのです。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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