この「ちびまる子」という小宇宙は、成熟を拒否することで美しく結晶していたわけですが、反対に、80年代から2010年代という困難な時代に、安易な妥協としての成熟ではなく、成熟を拒否することで、美しく結晶した小宇宙を描き出すというのは、巨大なエネルギーの必要な作業であり、真に成熟をした人間にしか成し得なかった仕事なのだと思います。
そう思うと、作者の死は夭折ではなく、早熟な天才が猛烈なスピードで完結した一生を駆け抜けて行ったということなのかもしれません。
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