キューピー、コクヨ、グーグルから何を学ぶべきか
私たちは、このブランドランキングから、何を発見し、気づき、仕事に生かすべきだろうか。
まず理解していただきたいことは、ブランドをマネジメントする、ということは、巷で言われている「ブランディング」とは、似て非なるものだという点だ。「もっとブランディングした方がいいですよ」などという言葉をたまに聞くが、察するに、相手に好印象をうえ付けることが、ブランディングという意味で使われているようだ。もしあなたがその意味で、ブランディングという言葉を使っているとしたら、それはブランドをマネジメントすることと、同義ではないことを知るべきだ。
繰り返すが、ブランドマネジメントの目標は、顧客に忠誠心を持ってもらい、良好な関係性を作ることだ。そのために、段階を踏んで関係性を構築していく。ブランドマネジメントの権威のデビッド・アーカーは、ブランドは
- 認知を確立し想起されるようにし、
- 知覚価値を高め、
- ユーザーとの距離感を縮め関連性を持たせ、
- 関係性を構築することだ、
と4つのブランド資産を、ステップを踏みながら構築する、ということを提唱している。
グーグルにしても、コクヨにしても、認知・知覚価値、ユーザーとの強い関連性、そして関係性を構築するという、4つのブランド資産をしっかりと保有し、維持改善している点が、この順位に現れている。
ブランディングは1つの手段に過ぎない。流行りの言葉や手法に惑わされることなく、自社ブランドが、この認知、知覚価値、関連性、忠誠心の、4つのブランド資産を持っているかどうかを棚卸しし、なければ構築する、という、ブランドマネジメントの基本に忠実になるべきだ。
もう1点学ぶべきは、独自性だ。マーケティング活動でいうところの、「差別化」と「独自化」は若干違う。差別化は同じカテゴリーの中で、他社と違う事をする、異なる製品・サービスを提供する、ということになり、独自化は、読んで字のごとく、他者がやっていない、カテゴリーまでも異なる、製品分野で価値を提供することだ。
競合他社を意識しすぎるて、差別化にばかり気を取られていると、消費者側からは、その差別化した点でさえも、陳腐に見えてしまい、ひいては価格競争に陥る。
既成のカテゴリーや製品・サービスに、少しだけ違うものを結合し、独自性の高いプロダクトを生むことで、そこに市場を作る。新しいカテゴリーになるので、初期の価格設定は自社でできるし、仕組み化にうまくいけば、継続して利益を得ることもできる。
「戦う場所をずらす」のだ。
このように、正しい独自化とは、他社と違うものを作る、ということではなく、顧客または未来顧客から見て、「自社の方が他社よりも価値があるように見える」ようにすることなのである。
マーケティングは、顧客と社会に、価値を提供すること。その価値は、独自性がなければすぐに陳腐化し、値引き合戦にさらされる。「何を」「誰に」「どうやって」という売れる仕組みの起点は、「何を」提供するか、だ。
ブランド価値を出せるかどうかの、最初のステップは、ここでもやはり製品・サービスの、独自化なのである。
image by: KOKUYO / コクヨ - Home | Facebook