それは敗北宣言。他人を「どうしようもない」という人がダメな訳

 

これは、担任から子ども相手でも当てはまるので、教える立場にある人は重々気を付けるべきことである。子どもは、大抵どうにかしようがある。ほとんどが、大人の側の対処能力の問題である。

人間関係の大抵は、自分でどうにか善処できる問題である。(「解決」ではない。「善処」である。ましにできる程度かもしれない)。「自分は悪くない」と言ってしまいたい気持ちはわかる。私もよくある。しかし、それは、基本的に敗北宣言なのである。

例えば、会議が毎度長いとする。確かに、それは司会が無能なのである。確かに、それは原案が不備、つまり、提案者の能力不足なのである。それは、間違いない。しかしである。その会議のメンバーに、自分も含まれているのではないか。そこに対してものを言わないのは、自分ではないのか(原案にもの申すことを推奨しているのではない。会議中にやたらと噛みつくのは、全員の時間の浪費である)。「自ら動けさもなくば従え」が原則である。要は、会議が長い原因に対して、自分が何の手も打ってないから、いつになってもさっぱり変わらないのである。

満員電車に文句を言っている人たちと全く同じである。その人も満員の原因の一つというより根本的要因)なのである。愚痴を言っている間は、その他大勢と同じである。

主体性を育てることが大切だという。それは、自分に都合のいい自己主張をする人間を育てることではない。主人公を育てることである。主人公は、ストーリー全体に深く関わる。自らの問題として困難に立ち向かう存在である。

厳しいことを書いてきたが、私自身も苦渋を舐めてきた経験が山ほどある。変えたくても変えられない自分がいた。環境に振り回されて、のたうち回る自分がいた。場の力に抗えず、屈するしかない弱い自分もいた。愚痴っても、慰めてくれるだけで誰も助けてはくれないし、何の解決にもならなかった。

働き方改革を求めるなら、組織や上司、同僚の問題をあげつらっても無駄である。自分自身に改革を起こす以外にない。それが面倒なら、強い者、組織に従うべきである。

image by: Shutterstock.com

松尾英明この著者の記事一覧

『まぐまぐ大賞2014[無料部門]教育・研究』の大賞受賞メルマガ。実践例を通して、教育観を磨きながら、具体的な手法にもふれていきます。「教育を志事にする」を信条に、真に役立つ実践的な情報だけを厳選してお伝えします。教育関係者を中心に、子どもに関わる全ての方々に向けて発信します。登録・解除ともにすぐできますので、ご一読よろしくお願いいたします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術 』

【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

print
いま読まれてます

  • それは敗北宣言。他人を「どうしようもない」という人がダメな訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け