人工知能は人間からどの職業を奪うのか、世界的エンジニアの予言

 

当然ですが、紀伊国屋のような大手書店は、レジからの情報をリアルタイムで収集し、どの書籍を仕入れるべきか、どの書籍を平積みして顧客の目につくところにおくか、などを計画的に実行していますが、アマゾンのように、それぞれの人に向けて「その人が買いそうな書籍を並べて見せることは出来ないし品揃えでも全くかないません

多分、彼らは次の一手として、Amazon Goのような無人レジを計画していると思いますが、それには莫大な投資と時間が必要で、その投資に見あうリターンが得られる保証は全くありません

銀行業務に関しても同じようなことが言えます。本来ならば既存の銀行がテクノロジーを使って業務を効率化すべきなのですが、簡単には人を解雇できない、既存の業務のプロセスを一気に変えることは難しい、あまりに莫大なIT投資は一度には出来ない、などの理由で、変化は遅々としています。

そんな中で登場したのが、テクノロジーを活用した(中国の)アリババのアリペイのような仕組みです。アリペイの凄さは、単にキャッシュレス社会を実現しただけでなく、個人のお金の使い方を完全に把握することにより、それぞれの顧客に対して「この人になら幾らまで貸しても貸し倒れにならないか」を把握できるようにしたことで、これにより、既存の銀行よりもはるかに低リスクでローンを提供できるようになったのです。

結果的に、これまで中国の銀行の消費者ローン部門で働いていた人は職を失いつつありますが、それは銀行がテクノロジーを使って業務を効率化したからではなく、アリババがテクノロジーを使って、消費者ローンビジネスを銀行から奪うことによって起こったのです。

つまり、「AIによりどんな職が奪われるか」を考えるときには、「既存の企業が人をAIで置き換えるシナリオ」よりも、「(解雇すべき人など抱えてない)AIを駆使する新規参入企業に既存の企業を淘汰してしまうシナリオ」の方が、はるかにインパクトが大きいことを頭に入れておくべきなのです。

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