横浜の中に神奈川区?カラスはなぜ都市に?「地理思考」の面白さ

 

「横浜は横の浜」

―inspired by【運の技術】

横浜市には神奈川区があります。つまり神奈川県横浜市神奈川区です。これって、奇妙ですよね。一体なんで起こったのでしょうか?

それは神奈川のあくまで横の浜だった横浜という集落が明治以降大きな巨大都市に発展して、それがもともともの神奈川という本来の街を内包して飲み込んでしまったケース。

なぜ横の浜が大きくなったのでしょうか?それは、技術の発展にあります。18世紀半ば、幕末に黒船が来航して、明治維新が起こりました。日本はアメリカと日米和親条約をむすび開国します。下田と函館を開港しますが、より江戸に近いところを要求され、近辺の街、神奈川にスポットが当たります。

しかし神奈川では問題がありました。神奈川の港は水深が浅すぎて、黒船など蒸気船だと底がついてしまい入港できないのです。そこで隣の横の浜にすぎない小集落・横浜に焦点があたります。横浜はそれまでは水深が深すぎて、漁村としては使いづらい港でなかなか発展していなかったのです。

もともと日本人があまり住んでいない集落で、江戸にも近く、近くに神奈川の街もあり、そして蒸気船が留まれる水深がある港が作れる、こんな適した場所が横浜だったのです。

こうして外国人居留地ができ、どんどん海外との交易が横浜で行われるようになり、横浜の街はどんどん大きくなり、日本初の鉄道が、その横浜と江戸の新橋(これも皇居近くの中心地=銀座まで行かない横の銀座)の間に1872年に引かれたのです。その鉄道は、西の商都大阪とを結ぶ鉄道=東海道線に進化していきます。

やがてそんな横浜は巨大都市になり、ついには神奈川も飲み込み、横浜の一部になります。今や横浜市は大阪市をはるかに超える人口を擁する日本第二の都市です。ちなみに、同様な発展が大阪の隣、神戸にも見られるのがおもしろいです。

経済の中心都市と外国をリンクさせたい、でも直接リンクさせてしまうのは、危険だ、なので隣にしよう、隣で蒸気船が留まれる港はないか?それが横浜であり、神戸なのです。ちなみに神戸の後ろの六甲山地は、大阪から見て“むこう”に見えます。むこうのやまなので、むこう=六甲なのです。さらにちなみに、そこを流れている川が武庫川です。大阪から見て、むこうの川=武庫川なのです。

このように、街ができるのには、その街が発展するのには、それぞれ理由があります。

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