「カラスはなぜ都市に住むのか?」
―inspired by【成功の神はネガティブな狩人に降臨するーバラエティ的企画術】
「“そうなっている”のはワケがある」の話をさらに続けましよう。そうなっていることの、そうなっているワケとは、一体どんなものがあるのでしょう?それを地理的要因と呼ぶことができます。
世界中の土地には、さまざまな環境の違いがあります。民族的な差異や地域的な差異とは、そんな環境の多様性や地域と国の文化基盤に根ざしています。環境の違いとは、山や海、そこに流れる川、さらに湖、砂漠、草原、そこからか獲れる天然資源等の物理的な違いがあります。さらにその土地に住む人の宗教や文化、農業、住んでいる人の人口、隣国との関係、それらもすべてその地理的な違いから派生して地理的要因になるのです。
つまり“そうなっている”のにはワケがあり、そのワケが、その土地や人々のキャラクターという新たなワケを作るのです。つまりワケが重なりあうことで、“そうなっている”キャラクターも刻々と変化して行くということです。
地理思考とは、そんな重層的な環境の違い=地理的要因から、実際にどんな風にその人たちのキャラクターの違いが刻々と変化していくか?を知ることです。それには柔軟な発想と関連性に思いをはせることが肝要です。
例えば自然の対立概念に人工がありますね。ちなみに自然は英語でnature。人工は英語でart。つまり“かつら・毛髪製品メーカー”の“アートネイチャー”は、人工の自然って意味なんだなって思うとなかなか本質をついたネーミングなんだと感心します。
自然とは、なるべく人の手が入ってないもの。人工とは、逆に人が手を加えたもの。地理的環境とは、その自然と人がどれだけ手を入れたものなのかという、それこそアートネイチャーなものなのかもしれません。
例えば、なぜ都市にカラスは住むのでしょうか?それは、森には天敵のフクロウがいるからです。フクロウより弱いカラスにとっては、森にいることができないのです。
いろいろな食物を与えてくれるのが自然=森ですから、つまりカラスにとっては人工=都市こそが森なのです。アートネイチャー感覚で言えば、フクロウのいない森を都市と呼ぶことができます。森と都市というものを対立概念でとらえるだけでなく、栄養供給源と考えると同値であると捉えることもできるという一例です。
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