横浜の中に神奈川区?カラスはなぜ都市に?「地理思考」の面白さ

 

僕は普段都内を車で移動しているのですが、山手線の内側から外側へ渋谷を抜けるためには、六本木通りか、青山通りなのですが、渋谷駅前でこの二つの街道がなんとわざわざ合流して玉川通り(厚木街道)として国道246として山手線の高架を通り抜けます。

どういうことかというと、つまり渋谷を抜けるのには、いつも渋滞に悩まされます。では別の街道で抜けられないかと考えると、甲州街道は新宿駅南口で大渋滞ですし、駒沢通りは恵比寿駅で渋滞です。そんなとき、いつも僕は思います。「なんで街道沿いに主要駅があるんだよ!別々に作ればいいじゃないか?」

でも、そう心の中で呟いてから、気付くのです。それは僕の間違いであると。つまり、本来は逆なのです。街道は人や車が往来するから、街道であり、そこに街ができるのです。そしてそこに街があったから、鉄道を引き、鉄道駅ができたのです。街道があり、そこに駅があるのですから、その街はますます発展するのです。それが渋谷だったり、新宿だったり恵比寿なのです。

このわかりやすい例が、中目黒です。いまや都内屈指の人気スポットです。中目黒駅は、山手通り(環状6号線)の真上にあります。すぐそばを駒沢通りと山手通りが交差しています。つまり渋滞するために作られているような構造なのです。

でももともと東急東横線の一駅だった頃の中目黒は今ほど栄えていませんでした。それが変わったのが、昭和37年に地下鉄日比谷線が接続され、終着駅(ターミナル)になったこと。こうして中目黒は、道路では南北と東西が交わり、電車では東横線と日比谷線が交わるジャンクションになったのです。こうして人気スポットに変貌しました。

つまり、どんな街も、そこに人が集まるから街になります。そしてその集まる方法が、時代とともに、技術の発展の度合いで変わるのです。街は常に変化していくということを、認識することが「地理思考」です。ということは逆に考えれば、その街に使命がなくなると、その街は衰退します。今まで考察した要因がなくなれば、その街は衰退するのです。

僕は日本全国高速移動禁止法案というのを考えたことがあります。リニアモーターカーの駅で長野県に停車するか通過するかの議論があっで、その議論はそもそも本末転倒だと思ったのです。だって街は、そもそもそこに人が集まったから、集まる理由があったから、街ができたのだから。

だから東海道には五十三次あったし、中山道には、馬籠宿も妻籠宿もあったのです。歩いて旅すると、そこに泊まる必要があったから。なので、高速で移動できるようになったなら、大阪と東京が1時間で結ばれたら、その間に街は必要なくなってしまうんだと思う、いいかどうかは別にして。

それでも中間に街が、長野県に街があった方が良いのなら(あった方がよいと僕は心底思う)やはり、東京から大阪には何日もかからなくちゃいけないんじゃないだろうか。少なくとも途中の長野県のどこかに一泊しないと、名古屋に行けないとか。

でも高速で移動できなくなると、どの街にも、その街が単体で活動できるだけの、産業が維持されることになる。農業も、学校も、人口も。暴論ですが、それが究極の地方再生だとも思えるのです。

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