楽天・三木谷社長が暴露した「奴隷みたいなものだ」発言の真意

 

楽天・タレック・アミンCTOが基地局ベンダー選定でした唯一の質問━━「インターフェイスをオープンにできないか」に対応したノキア

楽天のネットワーク試験設備は、全てが仮想化され、汎用サーバーが並ぶ様子は、既存のキャリアにはない雰囲気であった。

当日、楽天モバイルネットワークのCTOである、タレック・アミン氏に話を聞くことができた。一般に伝わりやすい話は日経電子版「モバイルの達人」に掲載済みだ。

ここではもうちょっと深い話に触れたいと思う。

楽天がネットワークベンダーを選定する際、ファーウェイやエリクソンが選ばれるかと思っていた。実際、こうした大手ベンダーが楽天に接触したという話を聞いたからだ。

しかし、選んだのは別の会社だった。

そのベンダー選定について、タレック・アミン氏は「2018年6月にベンダーを選ぶ際、各社に一つだけ質問をした。『インターフェイスをオープンにできないか』この問いかけに対して、議論に応じてくれたのがノキアだけだった」という。

実際、楽天の仮想化環境では、ブラウザ上でダッシュボードをいじると、ソフトウェアをサーバーにインストールでき、自動にテストが行える仕組みとなっている。このダッシュボードからノキアやシスコなど、参画するパートナーの機器やソフトウェアをチェックできるようになっている。

「我々はOEMにハードウェアを解放してもらう動きをした。ハードとソフトの分離はすべてのオペレーターにとっての夢だった。これを我々は実現した」(タレック・アミン氏)。

世界で初めて、仮想化技術によって、すべてのネットワークを構築するという楽天。しかし、総務省から割り当てられた周波数帯は1.7GHzしかない。他社は複数の周波数帯を組み合わせ、キャリアアグリゲーションで高速化を実現している。果たして、勝ち目はあるのだろうか

タレック・アミン氏は「1.7GHzのシングルバンドということで、シンプルにネットワークを構築できるのが強みとなる。マルチバンドの制御で苦労しなくていい。簡素化が大事であり、シンプルであることが優位性になるだろう。通信速度に関しては、5Gの周波数割り当てに期待している。我々はサービスを始める当初から、ネットワーク自体は5Gのアーキテクチャになっている。5Gの割り当てがされれば、大半の基地局が5Gでカバーできるため、5Gにオフロードすることになるだろう」という。

楽天にとってみれば、5Gの割り当てが始まる、このタイミングがまさにベストだったということのようだ。

image by:slyellow / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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