トランプ大統領は選挙運動中、「米軍駐留経費を全額負担しなければ米軍を撤退させる」と言っていましたが、大統領就任後は特に日本に対しては口にしなくなったのは、国防総省側が上記のようなデータをもとに説明したからです。
2018年2月、来日したマティス国防長官が記者団の質問に答えて、日本の駐留経費負担は「他の国のお手本です」と言ったのは、そうした根拠に基づいているのです。
さらに、日本列島に展開する84カ所の米軍基地はアフリカ南端の喜望峰までで行動する米軍を支え、他の国が代わることのできない、米本土に近い水準の「戦略的根拠地」を形成しています。日本は、これを自国の国防と重ねて自衛隊で守る役割分担にあります。
このように、日米同盟が金銭に換算できない戦略的重要性を持っていることは、米国側が承知してきたことでもあります。だから、トランプ政権は防衛費についても日本の判断に任せ、増額を要求せずにきたのです。
朝日新聞は、ここまで書かなければ、いたずらに国民の不安や反米感情を煽るだけではないでしょうか。だから「オオカミ少年」記事と言わざるを得ないのです。米国メディアの報道を紹介しているだけだと弁解するかもしれませんが、同じように疑問も持たずに記事を垂れ流す癖がついてしまうと、米政府の公式発表を伝えるときも、疑問も持たずに鵜呑みにすることにつながりかねません。「ジャーナリズムであろう」と奮闘している朝日新聞としては、肝に銘じてもらいたいものです。
朝日新聞が米国側の報道を紹介したところでは、
「複数の米政府当局者の話として伝えたところによると、米政権は『コスト(経費)プラス50』計画と名付け、受け入れ国にこれまで負担を求めていなかった米兵の給与のほか、空母や潜水艦の寄港の経費を求めることを検討。現在の駐留経費負担の5~6倍に当たる金額を要求される国も出てくる可能性があるという」
とのことです。
これについては、西恭之氏(静岡県立大学特任助教)が日本政府に対米交渉のための「秘密兵器」を提示してくれますから、ご期待ください。(小川和久)
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