「税務調査は事前に税務署から予告が入る、それから準備すれば大丈夫だろう」。そんなふうに高をくくっている方、「無通知調査」はご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では著者で現役税理士の今村仁さんが、突然の税務調査に慌てず実行すべき3か条について、わかりやすく解説しています。
突然の税務調査、どうすればいいの?
事前連絡なしの税務調査を現況調査(通称:抜き打ち調査)といいます。なぜ抜き打ち調査が行われるかというと、事前連絡をすることにより、不正の証拠隠滅や処分がされることを防ぎ、公正で公平な課税を守るためです。税理士会の調査によると、抜き打ち調査は全体の5%ぐらいで実施されています。
また、抜き打ち調査も任意調査の一種で納税者の同意が必要ですが、納税者には「受忍義務」がありますので正当な理由なしに調査を断ることはできません。
【正当な理由】
- 調査官が質問検査章の提示を拒むとき
- 時間と場所と方法が納税者の権利を不当に侵害したり、得意先の信用を失わせたり、日常生活に著しい支障をきたすとき
突然の税務調査3ケ条
突然、調査官が来て慌てない人はいないでしょうが、過剰に怒ったりおどおどしたりすると、何もなくても怪しまれます。人間というのは、切羽詰った状態に追い込まれると思わぬ言葉が出てしまうものですから、冷静に次の3ケ条を実行しましょう。
【突然の税務調査3ケ条】
1ケ条 質問検査章で身分を確認すること
2ケ条 顧問税理士に電話して、税理士の到着を待つ
3ケ条 先方の雑談になるべくのらない
身分確認はなぜするの?
1ケ条で、「質問検査章で身分を確認する」とあるのですが、これはニセ調査官対策です。しかし実際、今まで税務調査の立ち合いをする中で、ニセ調査官に出くわしたことはありません。他の税理士に聞いても、同様です。
ではなぜ、最初に身分確認をするのでしょうか。
端的には、こちらの心の動揺を鎮めて、冷静に対応できるようにするためです。動揺したままですと、調査官のパワーに押されて、そのまま中に入れて一気に調査が進んでしまうということになりかねません。
そのため、最初に身分確認をしつつ冷静さを取り戻し、2ケ条にある「税理士に連絡を入れ」て、更には、3ケ条にある「雑談に乗って余計なことを話さない」ようにするのが、ベターでしょう。
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