成長は右肩上がり。少子高齢化でも熱い日本の「コンタクト」市場

 

進化を遂げ続けるコンタクトレンズ

日本勢もシードが、遠近両用の1日使い捨てソフトコンタクトレンズ「シード1dayPure EDOF(ワンデーピュアイードフ)」を12月に発売。レンズの性能と人の見る力を最大限に引き出す計算方法を用いて、レンズデザインなどを設計して製品化した遠近両用コンタクトレンズだ。老眼に悩む中高年層をターゲットにした戦略ともいえる。

シード ワンデーピュアイードフ 

コンタクトレンズ業界では、従来より高い酸素透過性で眼の負担を軽減する次世代素材「シリコンハイドロゲル」を用いた高付加価値レンズの販売が近年伸びている。さらに、レンズの縁にラインがあり、目を強調させる効果がある「ビューティーレンズ」の販売額も、GfKの調べで前年比5%増となっていた。従来の瞳を際立たせるレンズに加えて、瞳の中に溶け込むグラデーションや自然になじむ色合いなど、瞳を自然に際立たせるデザインのサークルレンズの発売が相次ぐなど、商品ラインナップが広がっている。

売り方にも工夫が見られる。メニコンは2001年に月額定額制サービスの「メルスプラン」を導入した。現在の各種サービスでのサブスクリプションを先取りしたイメージだが、入会金と月額の費用を支払うとレンズなどを定期的に交換、調整してくれるサービスだ。常に新鮮なレンズで目の健康を維持したいという顧客ニーズに応えたほか、中高生など「コンタクトレンズデビュー」をする世代の親たちが安心してエントリーできるなどの面からも関心は高く、2019年に会員数は130万人を超えた

このほか、コンタクト関連企業による合併・買収(M&A)の動きも活発だ。メニコンやシードは欧州やアジア地域などに展開し、海外向けオリジナルブランドの浸透を図るなど、海外での売り上げ比率を伸ばしている。

日本ではこれまで中高年になると眼鏡で生活する人の数が多かったが、団塊世代を中心に若い時からコンタクトに慣れ親しんだ人が多いほか、若年層のコンタクト利用も増えており、今後も需要増が見込まれる。商品面でも、日々のケアに手間がかからず、多少値段が高くても一日で使い捨てできる製品ニーズが、消費者の間に想定以上にあることも各メーカーがわかってきており、今後もメーカー同士の新たな戦略が注目されそうだ。

image by: Shutterstock / 文中写真: 本郷香奈、シード提供

本郷香奈

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