【書評】なぜトランプは酒もタバコもコーヒーもやらないのか

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トランプ大統領のイメージといえば、破天荒、過激な発言、表現が乱暴…どちらかというと、そのような印象を強く持たれています。それらの発言だけを切り取り、大げさに報道されることも多々ありますが、実はその裏で多くの名言を残しているそうです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では著者で編集長の柴田忠男さんが、大統領就任前に発行されたトランプ氏の名言の数々を集めた一冊についてレビューしています。

偏屈BOOK案内:桑原晃弥 著『読むだけで人生に革命が起きる トランプ108の言葉』

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桑原晃弥 著/すばる舎

この本の発行日は2016年10月15日。トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に就任したのは2017年1月20日、選挙戦を勝ち抜いて正式に大統領に決定したのは2016年12月19日。まだ選挙中に、大統領当選イケルと読んで出版したのだろう。一応Amazonの内容紹介でも「アメリカ大統領候補まで上り詰める」としているが。この本の関係者は、トランプが大統領になるよう祈願しただろう。

参考文献はトランプ著・共著が3、ドナルド・J・トランプ著が3、ジェローム・トッチリー著が1、Newsweekが4号。これらの文献からトランプのキャッチーな言葉を拾い出し、見開きの右ページに大きな特太明朝で2~4行に組む。左ページは原則、上半分がトランプの写真、下半分がテキスト20字×18行。この構成で108の見開き。章の扉は見開き左に黒地テキスト白抜き、右ページにコラム。

専門家たちの予測を嘲笑うような、「政治の素人」の連戦連勝の快進撃だが、本選で勝てるかどうかは分からない。そういう段階で出版された本だから、もしダメでも問題なさそうな構成になっている。用心深いバクチ本、といっていいかな。だから、少し舐めていたのだが、ホントに大統領になってから読んでみたら、意外に面白い。トランプの言葉は案外平凡だが、本文が読ませる。

元編集者として、この行き届いた構成に感心する。各話のタイトルもうまい。気に入ったのはこれだ。

第11話 困難への挑戦

「それは不可能だ、というセリフを聞かされると 私は誰よりも 興味をそそられる」

成功が約束されている比較的簡単な仕事と、みんなが難しいと考える仕事のどちらを選ぶか。トランプはもちろん、後者にこそやりがいを感じるという。それにはわけがある。

厄介な問題を前に、あれこれ理屈をつけて「これは不可能だ」と決めてかかる人とは、「知事」であり「上院議員」である。「彼らは困難を上手に語ることはできるが、決して解決しようとはしないし、その力も持っていない。困難を前にすると責任の重圧に怖気づくだけだ」。一方、トランプは彼らが怖気づく相手、ユニオンや弁護士と連日激しい交渉をしているし、負けたことはない。

ポジティブとかいう甘っちょろいものではない。トランプにとって「ひどい問題」は、いつだって「素晴らしい機会」でもある。いいな、こういう気概の人に国の運営を委ねているアメリカは。わたしにとってすごく痛い言葉があった。

「服装は人がものを言う前からその人間を饒舌に物語る」

我ながら服装に無頓着だった。というより、バカ丸出し。若い頃を思い返すと本当に恥ずかしい。

トランプは酒もタバコもやらず、コーヒーも飲まない。食事も健康に良いものを優先させている。カジノホテルを所有するが、ギャンブルはやらない。独特の髪型だがかつらではない。100%自毛。握手は大嫌い。美しい女性が大好き。ミス・ユニバース機構を買収。三度の結婚と二度の離婚を経験、婚前誓約書を交わしているので財産を失うことはない。とにかく無茶苦茶すごい男。

編集長 柴田忠男

image by: Photographer RM / Shutterstock.com

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