記録したがらない安倍政権。どうなる?新型コロナの公文書管理

 

《朝日》の社説は、こうした政府の姿勢について、「森友・加計学園や桜を見る会を巡る問題など、この政権で公文書の改ざんやずさんな管理が続いてきたことを思えば、一定の前進」としながら、新型コロナウイルスの感染拡大への対策の中で開催された3回の専門家会議について「速記録をつくったのは1回だけで、残りの2回は休日だったため速記者の手配ができなかったという。録音もしていないとは、にわかに信じ難いが、事実なら怠慢である」と強く批判。

確かに、安倍政権が本気で記録を残そうとしているようには見えない。それどころか政治判断そのものが、必要な手続きを経ず、独断によって行われている懸念さえ強い。なかでもこの間、首相自身の口から出てきた三つの「要請」。イベントやスポーツ大会の自粛、全国一律の休校措置、そして中韓からの入国規制強化については、《朝日》も指摘するように「科学的な根拠を示すことなく」、また関係部署への周知・了解さえないまま行われている。「独断」が「独裁」になる前に、何とかしなければならない問題だろう。

「意趣返し」?

【読売】は4面の政治面で取り上げている。見出しから。

新型コロナ議事録 要求
震災時は自公側が批判
参院予算委 野党追及
首相「速やかに作成したい」

uttiiの眼

《読売》の取り上げ方の特徴は、飽くまで国会でのやり取りとして、与野党の攻防という次元でのみ、取り上げているところにある。そのことが見出しにも現れていて、4行のうち、上から3つは「野党」が主語ないし隠れた主体になっている。リードにも「与党は、東日本大震災で民主党政権が議事録を作っていなかったことを追及した経緯もあり、攻守が入れ替わった格好となった」と書いていて、与党対野党の図式の中に問題を落とし込もうとしているのがアリアリだ。

こうした取り上げ方の中から生まれてくる印象は、精々、「どっちもどっち」、「政争」といったものであり、ことが行政文書の管理という、民主主義の死命を制するような大問題だという認識は生まれてこない。与野党間の争いは勿論その通りだが、それだけではゴシップと大差ない。

その最たるものが次の記述。「立民、国民両党が議事録に焦点を当てたのは、「過去の意趣返し」(自民党中堅)との見方もある」という《読売》の書き方。これだけでは、メディアとしてどうなのか。

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