記録したがらない安倍政権。どうなる?新型コロナの公文書管理

 

「独断専行」の安倍首相

【毎日】は5面。見出しから。

新型コロナ 歴史的緊急事態 指定へ
政策決定 議事録義務化
入国制限根拠 例外の恐れ

uttiiの眼

《毎日》の基調は、「歴史的緊急事態」に指定されたとしても、結局は政策決定の根拠は明らかにされないのではないかという懸念だ。この日の国会審議でも、質問者は中韓からの入国制限強化の判断根拠を明らかにするよう首相に再三求めたにもかかわらず、首相の答弁は「政治判断」とするだけで、一向に説明しようとしなかった。

考えてみれば、中韓からの入国規制強化だけでなく、イベントやスポーツ大会の自粛要請に全国一律の休校措置要請と、首相が専門家の意見も聞かず、関係部署に報せもせずに決めてしまうことがあいついだ。こうした状況を是認しながら、ただ公文書管理ガイドライン上の「歴史的緊急事態」指定を行ったからといって、後に十分な検証が可能となるような、政策決定経緯の記録が残されることは期待できない。そう考えるのが自然だろう。

最後段は、その「歴史的緊急事態」に指定されても、記録が義務づけられるのは「政策の決定を行う会議」だけで、実質的な議論が行われる「連絡会議」は記録しなくてもよいことになりそうだという点についての記述。

新型コロナ関連の公文書廃棄を停止せよ

【東京】は2面の解説記事「核心」。見出しから。

連日の閣僚会合 議事録なし
「歴史的緊急事態」でも詳細残らぬ恐れ

uttiiの眼

《東京》はまず、政府が新型コロナウイルスの感染拡大に対応するなか、中国・武漢市の邦人をチャーター機で帰国させると表明した1月26日以降ほぼ毎日開かれてきた「連絡会議」について、その議事録を作成していないことを認めた点を指摘。また、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を「歴史的緊急事態」に指定するとしながら、「連絡会議」の議事録作成と公表の時期について明示しなかったことから、「作られる記録が、詳細な内容を明らかにするものではない可能性もある」と訝(いぶか)っている。

実際、新型コロナを巡る重要な決定は対策本部の少人数の会議や「首相の独断」(立憲の福山哲郎幹事長)で決まっているとみられていると。

森友・加計問題や桜を見る会を巡り、「公文書を積極的に残そうとしてこなかった」安倍政権に対して、公文書管理に詳しい研究者は「新型コロナ関係のすべての公文書の廃棄を停止してほしい。招来の感染症対策にも生かせるよう、議事録を正確に残すべきだ」(成城大の瀬畑源非常勤講師)と言っているという。

研究者でなくても、この問題に関する公文書が作られず、貴重な資料さえ次々廃棄されているのだとしたら、それだけで暗い気持ちになる。

【あとがき】

以上、いかがでしたでしょうか。最初、「歴史的緊急事態」とは随分大仰なネーミングだなあと思いましたが、このところ、毎年のように「歴史的」災厄に襲われていることから考えれば大袈裟でも何でもなく、とりあえず記録に残せるものはすべて残す、新型コロナ関連だけでなく、あらゆる政府内の動きについて記録を残していくことが必要だし、テクノロジー的にも問題なく、可能なのではないかと思います。そのための行政組織を一つ新設してもよいくらいだと思いますが、いかがでしょう。

image by: Drop of Light / shutterstock

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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