アパレルも「デジタル化」の時代。小売店の役割は物販から“体験”へ

 

4.ファッション体験DX

店頭販売とネット販売の違いとは何だろう。そして、DXにより、小売店はどのように変容していくのだろう。商品を購入するだけならネットで十分だ。もちろん、ネットでは素材の感触を確認したり、試着して着心地をチェックすることはできないが、写真で想像することはできる。動画ならシワを確認できるので、尚、分かりやすい。

アパレル製品を着用して、SNSに上げて、「いいね!」をもらう。多くの人は、それを目的としているのではないか。もし、そうならば、小売店は良い写真が撮れるスタジオになるべきだ。そして、販売員はスタイリスト、ヘア&メイク等を担当する。あるいは、インフルエンサーになることが求められているだろう。そうなれば、接客はしなくてもいい。商品が欲しければ、店頭に端末をおいて、そこから注文してもらえばいい。

店頭では、顧客参加型の撮影イベントを行う。それが仕事になる。その体験が楽しければ、わざわざ店まで出かける意義がある。あるいは、小売店では小売店限定モデルを販売する。あるいは、オーダーメイドでも良い。いずれにしても、ネットではできないサービスを行うことだ。そうなると、店の立地、面積、サービス内容も変わってくるだろう。商品を並べるのではなく、写真の背景となるようなショップ。カフェやメイクスタジオを併設するのも良いだろう。小売店の役割は物販から体験へと移行していくのである。

編集後記「締めの都々逸」

「誰も変化を 望んじゃいない それでも主役は 入れ代わる」

DXって言っても、いろいろな次元があると思います。便利なアプリを使えば、DXなのか。それとも、ビジネスモデルそのものが変容するのがDXなのか。多分、既得権のある企業は変容できないと思います。変容できるのは、起業家だけかもしれません。

常に起業家精神を持ちたいと思っていますが、そうなると経済的に安定しないんですよね。それでも、成長の可能性はないけど安全な道と、可能性はあるけど全く先が読めない道があるとしたら、後者を選びたい。進んでリスクを取るような人生を送りたいと考えています。家族には申し訳ないんですが。(坂口昌章)

image by: Shutterstock.com

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