歴史的大事件。中国をロシアに次ぐ「仮想敵」として認定したNATO

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強大な軍事力を盾に、周辺各国に対する軍事的挑発とも取れる動きを繰り返す中国。彼らが領有権を主張する尖閣諸島を擁する日本も、常にその驚異にさらされていると言っても過言ではありません。凶暴化した隣国の「侵攻」を防ぐため、我が国はどのような手を打つべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「外的バランシング」をキーワードにその対応策を考察しています。

中国に戦争(=戦闘)を開始させない方法

読者さんから、以下のメールをいただきました。

北野様

 

10年以上前からメルマガ愛読しています。とても分かりやすい解説など感謝しています。

 

ずっと北野様の発言をフォローしてきて思うのですが、例えば対中国では、おっしゃる通りにすると実力行使が避けられない状況になるのではないかと危惧します。

 

佐藤優さんが言うには戦争は能力と意志によって遂行されると。能力は既に中国にかなわないとなると、意志を持たせないようにするのが残る道かと思います。この考えに対してご意見を頂けないでしょうか。

 

戦争を避けたい読者より

この読者さんの話、日本人なら誰でも理解できるでしょう。日本人の中に、「中国と戦争(戦闘)したい」という人はいないと思います。そもそも、戦争(戦闘)したい人がいない。相手が、軍事費日本の5.5倍の核大国であればなおさらです。

しかし、日本が戦争したくなくても、相手が攻撃してくることもありますね。その時、戦争(戦闘)は、不可避になってしまいます。

それで、ポイントは、この読者さんが書いておられるように、「(侵攻の)意志を持たせないようにする」ことなのです。どうすればいいのでしょうか?

これ、理論的には簡単です。中国側に「勝てないだろう」と思わせることができれば、侵攻開始を阻止することができます。

中国は、いつから狂暴化したのでしょうか?09年からです。なぜ?08年、アメリカ発「100年に一度の大不況」が起こった。この時、アメリカは沈みました。

しかし、中国は08年から11年まで、9~10%の成長をつづけ、沈まなかった。それで中国は、「アメリカは沈んだ。彼らにはもはや、中国を止める力はない。これからは、アメリカを気にせず、国益を追求できる!」と考えた。つまり、中国は、「アメリカに勝てる!」と思ったのです。

それで、たとえば2010年には、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こりました。完全に中国側が悪かったにも関わらず、中国は「レアアース禁輸」などの制裁措置を打ち出しました。異常な強硬姿勢に、日本も世界も仰天です。「勝てる」と考えた中国は、狂暴化しはじめたのです。

(しかし、1929年の世界恐慌から学んでいたオバマ政権は、短期間で危機を克服することに成功。アメリカ経済は、早くも2010年から成長を開始し、以後2019年まで好景気がつづきました。「アメリカは、もはや復活しない」という中国の予測は、はずれました)

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