小室眞子さん結婚報道で注目「複雑性PTSD」に苦しむ“被害者”たちの実態

 

縦割りを横断するしかない

日本の行政の仕組みは縦割りだと言われるが、公立校を管轄する地方自治体では「ケース会議」などで各分野の担当者が集まって協議をすることはよくあるはずだ。

深刻ないじめが起きてしまった場合、教育や警察、保健や児童相談所などの各専門分野を持つ担当者らが適切対応を協議し、これら対応を最適化することは、今ある組織で今すぐにできることの1つであろう(すでにやっていて効果がないというケースは確かにあるが、それはやり方や会議の在り方が形骸化していることが多い)。

一方で、学校には公立校以外の私学や国立などがある。特に私学は大小さまざまで、大まかに見ればいじめの対策はほとんどできていないところが多い。

また組織の大小、かけられる予算規模においても、各分野の専門家を呼ぶことは困難であろうこともあるだろう。そうした点においては、国がこれに対応する部署なり、新設が予定されているこども庁に機能を持たせるなどの対応が必要であろう。

いじめの対応に真っ直ぐに取り組んでいった結果、私のような民間の本業探偵であらゆる機関から差別を受ける者ですら、もはや治療という専門的要素を取り入れる必要性を本誌で提言するに至った。

実際に私は、いじめの相談対応において、「複雑性PTSD」の観点を取り入れることによって、あらゆる場面でのいじめ被害を積極的に理解することができたし、これによって、多くの被害者とスムーズに事を進ませることができ、成果が上がってきている。

例えば、小学3年生から酷いいじめを受けていた現在中学2年生の男子生徒は、加害生徒がいると聞いただけで、足が震えてその空間に入れないという状況に至った。

ただし、いじめ行為自体は中学1年生の時に問題となり、学校が謝罪の会を設けたことや同じクラスにしない等の対策を契機に、収まっている。

つまりは、およそ4年間のいじめと、謝罪を受け入れないのは被害者が未熟だからだという誤った同調圧力を使うという学校側の対応によって、彼は学校への信頼感も喪失し、より心が孤立した状態にもなったというわけだ。

そして、行為認知が難しいことで、学校が理解できないいじめ被害においては、加害者らが接触していないのに被害者本人の状態が日に日に悪くなっていき、その被害を訴えるという状態は、複雑性PTSDで解説が可能になる。

このケースでは、トラウマや追体験などが起きやすい環境下であり、被害者本人の立場に立つといういじめ対応の原則からすれば、蹴る殴るなどの実行動が無くても、声が聞こえるだけで被害状態になるということが理解できるわけだ。

被害者の心理的状況の理解や対応の具体的な注意点、これまでの誤った認識が改まることは第一歩のいじめ対策である。

何にしてもいじめが深刻化しないように対策を講じるべきであるし、第三機関のような組織ができることは望ましいが、そうこうしている間に、いじめは次々に起き、時間の経過に伴って深刻化してしまうのだから、今ある組織で、今すぐできることを教育機関には、直ちにやって欲しいものである。

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