老齢年金の制度はどうなっている?年金のプロが5つの重要論点を事例で解説

 

2.免除期間の計算

昭和40年7月14日生まれのB夫さん。20歳になる昭和60年7月から昭和63年3月までの33ヶ月間は昼間学生。昭和63年4月から平成5年8月までの65ヶ月間は未納。

平成5年9月から平成15年1月までの113ヶ月間は全額免除。平成15年2月から平成20年6月までの65ヶ月間は半額免除。

平成20年7月から60歳前月までの令和7年6月までの204ヶ月間は納付済み。

老齢基礎年金はいくらになるでしょうか。

まず平成3年3月までの昼間学生の時の記録は国民年金には任意加入であり、任意加入しなければカラ期間になります。カラ期間は老齢基礎年金を貰うための受給資格期間10年以上を満たすための期間になりますが、年金額には一切反映しません。

免除期間の内、全額免除は全く保険料を納めていませんが、年金額には反映します。これは基礎年金の3分の1が国庫負担(平成21年4月以降は2分の1に引き上げ)となっているためです。

ただし、一般的な免除は世帯主、配偶者、本人の前年所得を考えた上で免除するかどうかを考えます。本人の所得が免除基準以下でも、世帯主や配偶者の所得が免除基準に該当しないなら免除にはなりません。

また、全額免除にならなくても、平成14年4月からは「半額免除」が導入されました。平成18年7月になると4分の3免除と、4分の1免除も導入されました。

免除に段階を付け始めたのは、昔と比べるとかなり保険料額が高くなってきたため、その人の支払い負担能力に応じた保険料額をできるだけ納めれるようにしたためです。

なお、先ほどの全額免除は一切の保険料を支払わないですが、半額免除の場合は半分の保険料を支払います。令和3年度国民年金保険料は16,610円なので、その半分の8,310円(10円未満は四捨五入)を負担します。

半額負担しており、この事例の期間は国庫負担3分の1の時なので、将来の老齢基礎年金の3分の2に反映します。なぜ半分負担したのに3分の2が基礎年金に反映するかというと、国庫負担3分の1+保険料負担は残り3分の2を2分の1(半額免除)します。すると、国庫負担3分の1+本人3分の1となり、合わせて3分の2となります。

ちなみに半額免除などの一部の保険料を支払わなければならない場合は、その一部を未納にすると単なる未納期間になってしまいます。

免除期間としての期間であれば過去10年以内の免除期間の保険料を追納して老齢基礎年金を増額する事が出来ますが、未納期間は過去2年以内の分しか遡って保険料を納める事は出来ないという違いがあります。

老齢基礎年金額を計算すると、780,900円÷480ヶ月×(113ヶ月÷3+65ヶ月÷3×2+204ヶ月)=780,900円÷480ヶ月×284.999ヶ月(小数点3位まで)=463,658円となる。

年金生活者支援給付金は、5,030円(令和3年度基準額)÷480ヶ月×204ヶ月+10,845円(令和3年度免除基準額)÷480ヶ月×178ヶ月=2,138円+4,022円=6,160円(年額73,920円)。

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