老齢年金の制度はどうなっている?年金のプロが5つの重要論点を事例で解説

 

次に差額加算ですが、これも老齢厚生年金の一部になり必ず支払われます。この差額加算は何者!?といつも疑問を持たれます。一体何なのでしょうか。

昭和61年4月からはどんな職業の人であれ全ての人が国民年金に加入して、みんな加入期間が同じであればみんな同じ年金である平等の共通年金として老齢基礎年金を受給する事になりました。

20歳以上のサラリーマンや公務員のような厚生年金に加入する人も、60歳までは国民年金に同時に加入しようねと。

老齢基礎年金はそれまでの収入に関係なく、定額の保険料を支払って、支払った期間に比例した年金を受ける年金であります。

なぜ、どんな職業の人であれみんなが共通する年金を作ったのかというと、昭和61年3月までの制度はみんなバラバラで給付にも格差があったからです。特に共済は厚生年金や国民年金よりも遥かに給付が高く、官民格差であるという指摘が強くなっていきました。

そこで、「もう制度を統一して一元化していこうよ!」という動きが昭和50年代から強くなり、まずすべての人が共通して受給する部分である基礎年金を導入しました。個人が受給する基礎的な年金はまずみんな国民年金を受給しよう!という事で統一したわけです。その国民年金からの支給の上で、報酬に比例した年金を支給しましょうと。

話を差額加算に戻しますが、厚生年金は加入比例の年金として「定額部分」という年金が存在しました。今現在の国民年金と性質が同じ年金ですね。

この期間に比例する年金である定額部分が、昭和61年4月以降に年金の受給権が発生する人(大正15年4月2日以降の人)は国民年金として支給される事になったわけです。

ところが、定額部分と国民年金では計算式と、使う期間の範囲が違いました。

定額部分は全期間の厚生年金期間を使いますが、国民年金の計算に使う厚生年金期間は20歳から60歳までの期間と決まっており、どうしても差額が出てしまいます。

差額を計算すると従来の定額部分のほうが金額が高くなり、新しく65歳から支払う事になった老齢基礎年金のほうが金額が少なくなります。

そこで従来の定額部分から老齢基礎年金に移行した時に生じる差額を埋めるための措置として、「当分の間」は差額加算として支払う事になりました。
当分の間ですが、いつまでこの措置をやるのかは未定です。

あと、この例の人は厚生年金しか加入した事が無いですが、20歳からは厚生年金加入していても国民年金に同時加入の扱いになるので、20歳から60歳までの間の厚生年金期間は老齢基礎年金の計算として利用されます。

国民年金に同時加入してますが、別途に国民年金保険料を負担してはいません。

毎月支払う厚生年金保険料から、基礎年金財源としてのお金が流れています。

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