武田教授が警告。「正義」を振りかざす日本外交は世界で通用しない

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国連が把握しているだけでも、すでに500人に迫る民間人が犠牲となっているロシアによるウクライナ侵攻。その責任はプーチン大統領に求められて然るべきですが、何が彼を軍事行動に走らせたのでしょうか。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では中部大学教授の武田邦彦さんが、その原因を考察。さらに「正義や誠実」を重んじる日本外交の危険性を指摘しています。

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ウクライナ紛争が起こるいま、浮き彫りになる日本の下手な外交

日本外交は下手で傲慢だ。でも、それが日本人になにも影響がなければよいが、外交は下手をするととんでもないことになり、東亜戦争の前には、対華21か条要求や、満州国のリットン調査団、そして対米戦争開始の経緯など、外交としては最低のレベルで進み、それがやがて310万人の日本人が死ぬ原因となった。

それぞれの相手になった、中国、白人植民地国家、そしてアメリカはいずれもそれほど悪徳ではない。日本人が相手のことを知り、相手や周辺諸国も「自分のことを考えているのだ」ということを知っていればよかった。

日本以外の相手の国や世界の国々は「普通の人間」である。お金持ちになりたい、楽になりたい、威張りたいと思っているのだが、それに対して日本人だけが「正義」や「誠実」を求める。それは絶対的な正義や誠実ではなく、日本人が日本の風土と歴史、日本人の自然と祖先に対する信仰という特殊な環境から見た正義と誠実なのである。

日本が中国に攻め入った時、それはそれで日本側には理由があり、ロシアの進出を止める力が当時の清国にはなかったので仕方がないと思っているうちに、戦線は拡大していった。でも、中国(清国から中華民国に変わったが)は満州は仕方がないとしても、中国本土に日本が軍隊を派遣してくるのはやはり屈辱だったのだ。

満州の運営では白人はもっとひどいことをしているし、満州国の国際調査団リットン報告では暗に「俺たちにも少し甘い汁を吸わせてくれ」と言っているだけだ。さらにアメリカと戦争になったのは、「石油の禁輸」ではなく、その前にアメリカが「中国の利権を少し分けてくれ」と希望しているのに断ったからに他ならない。石油の禁輸はその結果であって原因ではなかった。

日本だけが独自の道徳や誠実さを求めてもダメで、国際的な常識に沿わないと孤立する。今回のウクライナでも、日本の報道でニュースを聞いている日本人はまた大きく異なる道に進んでいるように思う。

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