プーチンの狂気を悪用する、ウクライナ紛争で“得をした”人物リスト

shutterstock_2131280571
 

プーチン大統領の異常とも言える強硬姿勢が、先行きを全く見通せないものにしているウクライナ紛争。多くの命が理不尽に奪われる悲惨極まりない状況が一月あまりも続いていますが、その間に「利」を得ている人物や国家、企業が存在していることも厳然たる事実です。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、政治経済面にフォーカスし、この紛争における勝敗や損得について解説。記事最後部では「ブーイングを覚悟」するとした上で、とあるタブーにも触れています。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

ウクライナ紛争―誰が得をし、誰が損をしているか?

「戦争を損得勘定で表現するとは、けしからん!」

タイトルを見てそうお叱りを受けるかもしれません。

また戦争が継続中であるのに損と得のお話を展開することを不謹慎だとのご批判もあるでしょう。

しかし、これまでいくつもの紛争に直に関わり、調停に携わった身としては、この「損得勘定」の話に常に付き合わされてきました。

一般の市民が多く犠牲になる戦争・紛争が行われている背後で、損得が語られている様はあまり気分がいいものではないのですが、それもまた戦争の現実であり、今回のウクライナ紛争でも実際に話題になっています。

国連のグティエレス事務総長は繰り返し「戦争に勝者は存在しない。皆、敗者だ」と述べていますし、私もそう思います。

しかし、同時に、クリアではないにせよ、「勝者」は間違いなく存在し、「敗者」も間違いなく存在すると考えます。

ただし、軍事的な勝者・敗者という区分ではなく、今回お話ししたいのは【政治的・経済的な“勝敗”や“損得”】です。

では、今回のウクライナ紛争で損をしたのはだれでしょうか?

まず明らかなのは、言うまでもなくウクライナ国民です。2月24日に、予想を上回る規模でロシア軍がウクライナ全土に攻撃を仕掛け、ウクライナにおける穏やかな日常は一瞬にして失われました。

ロシアによる“侵略”に対抗するため、法律で定められたとおり、18歳から60歳の男子は母国防衛のために戦うことを強いられ、それにより家族は引き離されました。2014年のクリミア併合問題以降、軍事訓練を受けた女性も相当数おり、男女の分け隔てなく、母国のために立ち上がり、ロシア軍と戦っています。

結果、ある程度、子供が独り立ちできる年齢の家族では、父母共に戦いに出るという事態も多く起こっています。

もしかしたら二度と生きては再会できないかもしれないような事態に追い込まれてしまったウクライナの人々は、損をしたというよりは、確実に被害を一方的に受けてしまった対象です。

ロシア軍による民間施設への無差別攻撃が頻発する中、多くの市民が生命を失い、美しかった街は跡形もなく破壊されています。

これまでの紛争で何度も戦後復興の任にも当たってきましたが、日々、情報と共に寄せられる多くの映像を通じて破壊し尽くされた街の様子を見て、紛争終結後に待っているさらなる苦難を想像して、唖然としています。

当事者であるウクライナの皆さんはなおさらでしょう。

損をしたという表現を用いるなら、ロシアの一般国民も損をしたと言えます。この見解には、いろいろなご批判もあるかと思いますが、プーチン大統領とその側近たちの下した決断と判断の負の影響をもろに被っているという点では、ロシア国民も被害者と言えるでしょう。

国際社会からの孤立、世界から寄せられる非難の嵐…。

ロシア人であるというだけで非難される状況は、表現は適切ではないかもしれませんが、ロシア人に大きなダメージ、損失を与えたと言えます。

「プーチン大統領を独裁者にしたのは、有権者たるロシア人じゃないか」という批判もあると思いますが、その選挙の公正性への疑念を踏まえると、“プーチン大統領”を信任したともいえない気もします。

今回のウクライナ紛争を見ていて、ロシア政府(特にプーチン大統領)の行動への非難と、ロシア人への非難が一緒くたにされており、勢いでロシア人への排斥感情が各国で高まっていることには、正直、懸念を強く持っております。

「プーチン大統領が自分たちに被害を与えた」とロシアの皆さんが認識し、損をしたと感じるのであれば、選挙制度に期待はできない状況下でも、声を上げて、行動を広げていく必要があるでしょう。ロシアを変えることが出来るのは、ロシア人だけですから(とはいえ、CIAやMI6の工作がすでにロシア国内で展開されているという情報もあり、いくつか思い当たる事案もありますが、それについてはここでは書けません)。

国際情勢の裏側、即使えるプロの交渉術、Q&Aなど記事で紹介した以外の内容もたっぷりの島田久仁彦さんメルマガの無料お試し読みはコチラ

 

print
いま読まれてます

  • プーチンの狂気を悪用する、ウクライナ紛争で“得をした”人物リスト
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け