「親分の国」も「商人の国」も、安定より“不安定”を求めるワケ

 

3.世界を不安定にする努力

人をコントロールするには、不安な状態にしておくと効果的です。自然災害、疫病、戦争、経済危機等が起きると、人は国家や強い支配者を頼ろうとします。そして、政治家の支持率も上がります。

いつでも不安な状態をつくり出すには、対立する勢力を育てることです。全く考え方が違う二つの勢力。交わることのない二つの原理に基づく国です。双方が別々の正義を持ち、それが対立する構図。一方から見れば、相手は悪役です。

しかし、全く交わらない勢力で互いに独立すれば対立は起こらない。対立しているけど、相互依存している。そんな関係が理想的です。例えば、一方が貨幣をコントロールする国で、一方が食料や化石燃料の資源を持っている国。一方が組織で統治し、一方が親分が統治している。

対立構造を維持することは意外に面倒です。油断していると共存共栄の平和な関係になってしまう。したがって、常に安定しないような工作が必要です。

例えば、宗教上の対立。例えば、少数民族の弾圧。例えば、価値観の対立。例えば、反政府的なテロリズム。これらに対して、対立を煽るための資金提供や教育を行い、継続的にプロパガンダ活動を行う。こうした不断の努力により、世界は不安定な状態を維持しています。

4.商人の行き詰まりと世界の再起動

親分の世界は消えようとしています。親分の国は、次々と商人の国になり、やくざ、ギャング、マフィア等の反社会的勢力は警察や軍隊によって淘汰されました。勿論、商人の国の中にも親分勢力は存在していますが、あくまで商人のルールで生き残っているのです。

親分の行動原理がそのまま国家になったのが独裁国家です。数は少ないものの、世界には親分国家も存在しているのです。

さて、問題は商人の国にもあります。あまりにも、貨幣や株式、相場で利益を追求したために、経済がバブル化してしまいました。そのままではどこかでバブルが崩壊し、世界は大恐慌に陥ります。それを乗り切るには、例えば、全ての借金をチャラにして、通貨を刷新して、古い通貨を使えなくしてしまう。そうすれば世界は再起動ができます。

しかし、商人は責任を負いたくない。できれば、親分に責任を押しつけ、一度世界中を大混乱に陥れた後、親分に責任を取らせて、平和裡にに世界体制を刷新することを提案する。再起動した後は、再び発展途上国に投資し、成長の種と混乱の種を同時に植えつける。次の悪役も必要になるし、商人は常に世界が安定せずに変動を繰り返す構造を求めているのです。

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