だから維新は嫌われる。足りぬ政治学の基本、勉強し直して国民政党に脱皮せよ

2022.05.04
 

自民党が「Too Little」「Too Late」「Too Old」となる理由は、まず自民党の政治家が高齢化しているからだ。若手の代表と呼ばれる福田達夫総務会長でも、54歳だ。「IT化」「デジタル化」など理解できない「老化」が問題なのだ。

また、自民党は高度経済成長を実現した政党であるために、その成功体験をいまだに忘れられないことも問題だ。

そして、「中央集権体制」も、細分化する政策課題に対応できなくなっている。社会保障や福祉など、地方主導で迅速に現場のニーズに合わせて対応するほうが、効率が良い。自民党の全国一律の政策が機能しなくなっているといえる。

それは、コロナ禍で社会の「IT化」「デジタル化」が他国と比べて遅れていることが明らかになったように、国民に認識されるようになってきている。

そこで必要になるのが、「なんでも反対」でなく、自民党の「Too Little」「Too Late」「Too Old」を厳しく批判し、「もっと改革を大胆に進めよ」と訴える野党だ。そして、改革を素早く、的確に進めるために、地方主権の推進を主張する野党だ。

それは、端的にいえば、衆院選で躍進した、日本維新の会や国民民主党ということになる。

この両党のうち、特に維新の会の衆院選での躍進の理由は、その「改革姿勢」が評価されたからである。維新の会が「大阪を改革する」と主張して、「二重行政の解消」「既得権の解体」「財政再建」の取り組みによって、新たな財源を生み出し、新たな政策を始めていることは、フェアに評価すべきである。

例えば、大阪府・市では「公立高校無償化」に加え、「私立高校の無償化」(府内全域)「中学塾代助成制度」(大阪市)「段階的幼児教育無償化」(大阪市、守口市、門真市など)「中学3年までの医療費無料化」「授業用タブレット端末導入と教室のクーラー設置」「教員の初任給大幅引き上げ」「日本初の市立中高一貫校開設」(大阪市)など教育政策を推進している。

特筆すべきは、大阪市の「異次元の保育所整備で、待機児童数を過去最低の37人にした」(吉村市長)という認可保育所の大幅増設による保育所入所枠9000人増だろう(吉村大阪市長定例記者会見2018.5.10)。

これは、待機児童問題解決よりも「幼児教育無償化」を優先させている安倍政権よりも、より大胆な政策を打ち出し、実行しているといえるのではないか。

また、「日本初の公営地下鉄を民営化」「水道料金値下げ」「特別養護老人ホームに入居できない待機高齢者ゼロ」「独り暮らしや寝たきりの高齢者見守り事業」など、住民の生活や高齢化社会に対応する政策も実行した。

さらに、府・市の枠を取り払った大阪観光局が推進する観光政策による、観光業の急拡大や、医薬品産業を大阪のメイン産業の1つと位置付けた成長戦略、統合リゾート(IR)の誘致、2025年の大阪万博の開催決定など、国ではなかなか進まない成長戦略にも積極的だ。そして、なによりも、吉村洋文党副代表(大阪府知事)が、コロナ対策で奮闘し、評価を高めていた。

これらの維新の会の政策実行力は、保革のイデオロギー対立にこだわり、「なんでも反対」し、「なにも変えてはいけない」と主張し、審議拒否を繰り返した結果、自民党政権が国会提出した問題だらけの法案を無修正で通してしまった、「左派野党」のあり方とはまったく異なっている。

ゆえに、維新の会には、自民党の「Too Little」「Too late」「Too Old」な政治に対抗する「新しい野党」となるポテンシャルがあると考える。

一方で、維新の会は、自民党に対峙する野党の中心となるには、いまだに課題が多い印象だ。何よりも、大阪中心の地域政党から、名実ともに全国区の政党に生まれ変わる必要がある。

まず、国民民主党、都民ファーストなどと協力関係を進めて、できるならば一体化しなければならない。こちらは左派野党とは違い、政策志向はそれほど大きな違いはないからだ。

なかなか協力関係が築けないのは、小池百合子東京都知事が代表だった「希望の党」を源流とする国民民主党、都民ファーストという「東京の政党」に対して、「大阪」が基盤の維新の会が不毛で感情的な対抗意識・縄張り意識を持ってしまうからだ。もう、大阪へのこだわりを捨てて、国家全体のことを考えて行動すべきだ。

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