ウクライナ苦戦。攻勢強めるプーチンが勝利宣言する「ロシアの日」

 

もう1つ、ロシア軍は、50年以上前のT-62戦車を近代化改修して、実戦で使うようだ。T-72戦車の損耗が激しく、1,000両以上が破壊されて、予備がなくなったことで、仕方なく、旧世代の戦車を使うしかない。

このため、戦車を先頭に立てる戦いができないが、この戦車を配備したBTG(大隊戦術群)を複数個作ったようである。これで、再度、ハルキウへ向けて攻撃を再開した。

この攻撃で、ロシア軍は戦車を先頭に攻撃する方法ではなく、攻撃地域への砲撃から開始して、偵察隊を出し状況を見て、その後に戦車隊を送る攻撃手法になり、攻撃速度は落ちたが、確実性は増している。その分、ウ軍の防御は苦しくなっている。今までの手法が使えない。

このような攻撃では、火力の量が勝敗を決定する。また、ZALA攻撃ドローンをロシア軍も使い始めて、ウ軍と同等になってきたが、スティンガーミサイルで撃ち落されているようだ。しかし、ロシア軍も今までの敗戦を反省して、攻撃手法を見直しているので、今までのような負け方はしなくなってきた。

このため、現時点での火力の量は、セベロドネツク方面攻撃のロシア軍の方が上であり、火力が少ないウ軍の苦戦が目立ち始めている。ロシア軍の集中した物量作戦がやっと、有効に機能し始めたようである。

この苦戦を乗り越えるには、ウ軍に訓練の必要がないMIG29の拡充やF-16Vでの航空力のUPとMLRSやHIMARSなどの火力の増強が必要になっている。その到着で戦況が変化するはずであり、逆にそれまでに、ロシア軍は占領地を増やして、停戦して有利に交渉を進めたいようである。

このようにロシア軍が、やっとこの戦争に適合し始めたが、西側の制裁で兵器工場の操業停止で、弾薬とミサイル不足と戦車などの装備不足は続いている。このため、どこかで停戦しないと、物量や火力の逆転になり、ウ軍が勝ち始めることになる。

そして、ロシア軍の元将校のボタシェフ氏63歳が戦死した。SU-25でウ軍攻撃中にスティンガーミサイルで撃墜されたが、老人が前線で活躍しないといけないほど、パイロットが不足しているようである。ロシアの平均寿命は男性69歳であるから、63歳は十分老人である。

ボタシェフ氏は、民間軍事会社ワグネルの雇用兵として従軍していたが、パイロットなどの熟練度が必要な兵の不足が目立っているようだ。50歳以上のパイロットが多数いて、かつ複数戦死している。

その上、戦闘機は200機以上が破壊されて、ロシア軍VKSは空爆もできない事態になっている。出撃回数が大きく減ってきている。ヘリの損耗も大きく、Z-20Kという中国製ヘリも登場している。

このため、志願兵の年齢制限をなくして、技能熟達が必要な兵の補充を進めるようである。IT技術者や通信兵なども技能者が必要であり、その補充もできるようにする。

核利用の前に、まだまだロシアには人的資源があり、それを利用した戦い方があるはずであり、戦争当初は、攻撃スピード重視で進んだことが、負けた原因であったようである。

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