ここからは、米国もロシア軍の装備に対応した兵器をウクライナに提供しないと、ロシア軍を撃退できないことになる。ウ軍の負けは西側の敗北となるので、米国もウ軍支援に必死である。もし負けると、次は中国の台湾進攻となり、負けるわけにはいかない。
資金的にも、天然ガスは中国が大量に買い、石油はインドと中国が買っているので、外貨は不足していない。また、中国の人民元を使い、海外との送金入金もできるので問題がないとしていた。
その状況で、ロシア国債のテクニカル・デフォルトになる。まだ、その判定が出ないが、近々、そのようになる。このことで、シルアノフ財務相は27日、ウクライナでの「特別作戦に巨額の資金が必要だ」とし、3ケ月を超えたウクライナ侵攻の財政負担の重さを認めた。デフォルトでロシア国債の販売ができなくなることは、大きな痛手になるようだ。
しかし、ルーブルは上昇している。この原因は、ルーブルを金本位制に復帰させたことのようであるが、自由にお札を刷れないことになる。財政的な問題があっても、量的緩和で財政出動ができなくなることを意味する。財政問題に直面し始めたようだ。
もう1つ、このままにすると、財政問題がありながら、長期戦になり、ロシアもウクライナも疲弊することになる。ロシア軍は当初戦力の19万人の内、今いるのは半分の10万人であり、10万人を新兵で補充しても、戦車兵でも訓練が半年は必要であり、どこかで戦力不足になる。ウ軍は国民皆兵であり、ロシア軍より動員力はあるが、それでも損耗が激しいようである。
ということで、どう戦争を終結させるかが問題であり、ダボス会議で、キッシンジャー氏は、ロシア敗北濃厚な状態では核戦争になり、欧州に悲惨な結果をもたらすから、ウクライナは国内分割でも我慢して、ロシアとどこかで停戦するべきであるとしたが、ゼレンスキー大統領やソロス氏は、2月24日以前の状態にするまで戦うという。
現時点では、どちらもどの条件でも納得できないことと、ロシアの疲弊で国内的に限界になるまで、停戦は難しいのであろう。まだ、長く戦うことになる。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年5月30日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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