日本の会社に勤務する友人の30代の在日中国人女性が、昨年結婚相談所に行ったら、「日本人男性が外国人女性を配偶者に選ぶことはめったにないと思いますが…」と結婚相談所の人に言われた。そういう話を聞いて、女性は少しがっかりしながらも、日本人男性と恋愛・結婚できるかどうか実践してみようと結婚相談所に入会した。
驚いたことは、結婚相談所のホームページにて数名の男性が書かれている結婚相手を選ぶ条件の中に、「外人は遠慮してください」という一文がある。結局、1年経っても、婚活はなかなか進まないのだ。同年代の日本人男性会員に申し込んでも、ほとんど拒否された。国際結婚のゴールは非常に遠い。
日本人男性は外国人女性と結婚したくないことは、もちろんこれは「差別」とは言えない。外国人に対する価値観、態度、習慣に過ぎないと思うのが、いまだに多くの日本人の心の中、「内の人」と「外の人」の間、はっきり心理的な線が分けられていると分かった。多くの日本人が心底から外国人を受け入れていないことを表しているのかもしれない。
日常生活の中、「軽い差別」あるいは「さりげない差別」がたくさん存在するかもしれない。小さな差別が積み重なって沈んでいき、大きな差別になっていく恐れがある。あえて言えば、日本人には気づかいが得意だが、しばしば外国人に対する気づかいが足りない。
金沢21世紀美術館で遭遇したことを書いたのが、美術館または特定の方を批判するつもりではなく、「日本人の外国人に対する心理」を問題提起の思いで書くわけである。日本社会は、だんだん移民社会に向かっていく方向なので、外国人と接する機会がだんだん増えてくるはずだ。
特に、ポストコロナ時代、外国人がもっと日本に来ると予測する。こころの準備を早めにしたほうがいい。外の人に対し、さりげない偏見や無意識の思い込みを捨てるべきである。
今回のことで、自分の不注意で金沢21世紀美術館に迷惑をかけた。美術館スタッフの責任感と敏感性に感服した。指輪がガラス枠にわずかに接触する音をとらえたことはすごい。機会があったら、また金沢21世紀美術館を訪れたいと思っている。もちろん、自分の指や指輪が芸術品に触れないように、気をつける。
最後に述べたいことは、在日外国人としては、よそものという立場を受け入れ、よそものとして日本がよくなるために自分がどうすればいいのか、を考え続けるべきである。
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(『黄文葦の日中楽話』2022年6月20日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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