元国税調査官が暴く、宗教団体「税制優遇」の実態と“政治の結びつき”

 

高額ツボの販売も非課税

そして税制上の優遇が受けられる「宗教活動」の範囲が非常に広いのです。お布施や寄付ばかりではなく、神社などで売られているお守りやおみくじの販売も、宗教活動として非課税となっています。国税庁のホームページでは、税務上の宗教活動について次のように解説されています。

「お守り、お札、おみくじ等の販売のように、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合のその物品の頒布は、収益事業には該当しません」

つまりは、おみくじやお守りなどは、本来の原価は大したものではなく、神仏の「御利益」を売りにしている商品については、宗教活動と認めます、ということなのです。また墓地の販売も、非課税となっています。

国税庁のホームページでは、宗教団体の墓地事業について、次のように説明しています。

「宗教法人が行う墳墓地の貸付けは収益事業に該当しないこととされており、この墳墓地の貸付けには、その使用期間に応じて継続的に地代を徴収するもののほか、その貸付け当初に「永代使用料」として一定の金額を一括徴収するものも含まれます」

墓地の場合、「販売」とされていても、実は「永代の貸付」とされている場合が多いがそれも含めて非課税ということです。つまり、宗教法人が営む墓地販売業は、非課税ということです。

ところで旧統一教会は、信者に高額なツボなどを販売する、いわゆる「霊感商法」などで社会問題になったことがあります。この霊感商法には、実は税金がかからないのです。一般の商取引ではあり得ないような高額なツボなどは、通常の商取引ではなく「宗教的な寄付行為」とみなされるのです。つまり、高額過ぎるツボは、高額過ぎるがゆえに税金を免除されるというわけです。

なぜ宗教法人は巨大宗教施設を建てられるのか?

また宗教法人というと、巨大宗教施設がつきものであり、いろんな宗教法人が日本各地に宗教施設を持っています。全然名前の知れていない宗教が、人目を引くような建造物をつくっているというようなことも多々あります。

これも、実は税金が関係しているのです。宗教法人は、お布施や寄付などに税金がかからないので、それをそのまま建設費に充てることができます。しかも「宗教施設」には固定資産税がかからないのです。単なる信者の集会場であったり、オフィス的な機能を持った普通のビルであっても、宗教的な催しをする場所であれば、固定資産税はかかりません。そのため、少しお金が貯まった宗教法人は、たちまち巨大な宗教施設を建設することができるのです。

そしてそんな巨大な施設は、その宗教法人の宣伝材料にもなるのです。「こんな大きな建物をつくっているんだから立派な宗教に違いない」と信者たちに思わせるのです。

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