儲けることを至上命題にするヤバさ。この世から「準情報商材」が無くならない理由

 

マーケティング

仮説3:お金を払ってもらうのに一番簡単なのは、「儲ける方法」を提示すること

これも難しくありません。たとえば、このメルマガは「読む・書く・考えるの探求」をテーマにしていますが、これを買ってもらうのはなかなか大変です。なにせそれがどんな価値を持つのかを明示できないからです(皆様ありがとうございます)。

一方で、「儲ける方法」なら話はぐっと簡単になります。1,000円でそれを買っても、後で1万円儲けられるなら十分ペイする、と「計算」できるからです。そこでは、天秤の右側と左側に乗っているものは同じなので、判断は容易です。

それに比べると、「読む・書く・考えるの探求」や「アウトライナーを活用して文章を書き、考え、生活する」(by アウトライナー・ライフ)な情報にいくら払えばペイできるのかはなかなか計算できません。よって、アピールは非常に難しくなります。

アピール活動そのものにもコストがかかることを考えれば、「儲ける方法」のようにはっきりと具体的な方法を謳うものを「商材」にするのが一番でしょう。

行き着く方法論

上記のような仮説を統合すると、以下のような結論が出てきます。

儲けることそのものが目的の人は、なるべくコストをかけないことが至上命題になり、その結果、見聞きしただけの「儲ける方法」を模倣し、多少アレンジを加えただけで十分な省察も加えることなく、それをコンテンツと称して、お金を儲けたい人に売ることになる。

当然のように、そうしたコンテンツを買った人もまた「お金を儲けたい人」であり、後は同じような構図が繰り返されます。この繰り返しに関しては情報商材とまったく同じです。

ただし、情報商材は情報そのものに増殖性が含まれていたのに対して、準情報商材は利益の構造において模倣的なコンテンツが生まれやすい土壌がある、という点に違いがあります。

で、なぜこんな分析をしているのかというと、情報商材のようにはじめから欺瞞的なものを作るつもりがなくても、「儲ける」ことを至上命題にしていると──なんならPDCAサイクルを回していると──結果的に準情報商材に近づいていくのではないか、という懸念があるからです。

姿形のない「情報」で利益を上げるのは大変です。その大変さをわかっていないままビジネスに参入してしまうと、上記のような道のりを辿ってしまうのでしょう。皆様もお気をつけください。

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1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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