少子化の原因にも。日本にしかない時代遅れの戸籍制度を廃止すべき訳

shutterstock_1337314286
 

未ださまざまなシーンで求められる戸籍の提出。しかしこの戸籍制度、採用しているのは日本のみという事実をご存知でしょうか。そんな制度の廃止を求め続けているのは、ジャーナリストの上杉隆さん。上杉さんは自身のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』で今回、そのきっかけとなったフランス政府による少子化対策を紹介しています。

この記事の著者・上杉隆さんのメルマガ

初月無料で読む

 

前編【戸籍制度の限界~差別の温床。ジダンも、アンリも、ロナウドも…。時代は「戸」から「個」へ】

戸籍制度の廃止を訴えてから約20年が経過する。

1868年の明治維新によって現在の戸籍制度は誕生した。比較的に新しいシステムなのだ。仮に、日本古来の伝統的システムを守ると言っている人がいたら勘違いだろうし、国民と家族を守るための制度だと語っていたら、それも違うと教えてあげてほしい。

現在の戸籍制度は、明治新政府が長州藩の行政管理システムを真似たもので、国民側の利益ではなく、あくまで行政側の利便性から導入されたものにすぎない。

東アジアに固有の制度だったが、台湾、朝鮮半島は戦後に廃止され、中国は2014年の改正で事実上、消滅した。ゆえに現在では、日本に固有の制度となっている。

筆者が、戸籍制度の廃止を求めるようになったのは2004年のこと。きっかけはパリでの入院だった。

当時のフランス政府は、移民問題と少子化問題の狭間で頭を悩ませていた。

少子化対策としてマグレブ(北アフリカ系)などから外国人を受け入れるのはよいが、国内での治安悪化で保守派の支持を失いかけていた。一方で、同地区から流入する移民がフランスの社会構造をよりよく変化させ始めていたのも事実だった。サッカーフランス代表のジダンやアンリなどその顔ぶれをみれば、移民は国力増強にも効果的だと確認できたし、税収増にもつながっていたからだ。

政策上、人口減を食い止めるのは「移民」か「出生率増加」のどちらか、またその双方を活用するしかない。

1990年代には、1.66点まで落ち込んでいた合計特殊出生率の低下は、フランス経済を痛めつけ、社会に暗い影を落としていた。移民政策によってかろうじて保たれている少子化対策の抜本的な転換が必要だった。人口増は、出生地主義をとるフランスにとっては、納税者を増やすチャンスであり、国の財政を潤す急務の政策なのであった。

そんな時に登場したのが、選択的移民政策を推進するサルコジ内務大臣だった。2003年11月26日、第二次大戦以来の伝統的な移民法を改正し(03年法)、返す刀で、女性に向けた、手厚い出産育児支援制度(少子化対策というとネガティブな印象があるので何か別のネーミングはないだろうかと当時より考えている)の推進を加速させた。

この記事の著者・上杉隆さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • 少子化の原因にも。日本にしかない時代遅れの戸籍制度を廃止すべき訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け