すべては誰のせい?自転車事故は「自転車が原因」ではなかった
しかし、自転車にもメリットは数多い。言うまでもなく、自動車のように排ガスなどを出さないため環境に優しく、ペダルを漕ぐことで健康増進にも繋がる。
また、最近では宅配便業者がリアカーをつけた自転車を使ったり、子供の送り迎えや、クルマやバイクの通れない道への新聞配達や郵便物の配達など、自転車が活躍している場面は多い。
つまり、クルマのドライバーたちの「自転車も免許化しろ」は極端な意見であり、自転車のメリットを十分理解していないと言えるだろう。
世界でも自転車の利用率が高いオランダの実地調査によると、1980年代に多発していた自転車事故は、自転車の走行距離が45%もアップしているのに、逆に自転車事故の死亡者は2000年代に入ってから6割も減少している。
それは、オランダが国をあげて「自転車利用の国家戦略」を実行したからだ。これは、自転車専用道路が国全体で整備されたからだという。
一方、日本の道路では、取ってつけたかのように強引な「自転車専用レーン」が作られているが、ただ自転車マークがペイントされているだけで危険も多く、自転車が快適に走れる環境ではない。
自転車事故の原因は、自転車に乗る人よりも、自転車を使いやすいように道路や環境を整備してこなかった国にあるといっていいだろう。
ヘルメットの着用の義務化を進めるよりも前に、国はもっとするべきことがあるはず。
今後、ヘルメット着用義務以上の、さらなる規制によって自転車だけが悪者になってしまう状況だけは避けていただきたいものだ。
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