アパレル業界が縮図。日本をダメにした「グローバル化」と復権のカギは?

 

一つの技術を追求して何十年も経営を持続してきた企業を、簡単に買収できるというのは制度的に不備があると思う。本来、金で買えるはずのないものを、金で買えるように制度設計しているのだ。

株式を上場することは、一時的な利益を得ることができるが、投資家に買収される危険性が生じる。昔は、銀行や取引先と株式を持ち合うことで経営の安定を図っていたが、グローバル経営という名目で法的に禁止された。

株式を上場すれば外国人投資家が株主になる。彼らは、より高い配当を求め、その結果、社員の給料を上げることも福利厚生を充実させることもできなくなる。下請けの工賃も叩かなければならなくなる。海外の投資家が利益を得て、国内の社員や下請けが貧しくなる。株主優先の経営は野蛮なのだ。

同族経営は遅れていると言われるが、それは日本企業を支配しようとする勢力のプロパガンダだ。世界では同族会社が主流である。

5.日本語がグローバル化の堤防

世界に貧困や飢餓が増えたのは、自給自足的経済から貨幣経済に移行したからだ。食糧を確保する仕事を、金を稼ぐ仕事より優先させれば、簡単には飢餓にはならない。

便利な家電製品や自動車、スマホを見せることで個人の欲望を増大させ、現金収入が得られる仕事へと誘導し、奴隷労働に従事させる。お金で縛り上げることで、最終的には食糧もお金で買わなければならなくなる。その結果、貧富の格差が広がり、飢餓や貧困が生じるのだ。

日本人が食糧危機にならないのは農家の存在によるところが大きい。しかも、日本の農業は兼業農家が支えている。農業の収入だけでは生活できなくても、農業を持続してくれるお蔭で、我々は食糧の心配をしないで済んでいる。

日本の農家が高齢化で廃業し、穀物メジャーやグローバル企業に農業が支配されると、日本人を食糧で支配することが可能になる。今後数年間でそういう動きが加速されるだろう。

日本が海外資本に支配されにくいのは、日本語のお蔭だ。もし、日本国内のビジネスが英語でできるようになれば、あっと言う間に外国資本と外国人労働者が押し寄せ、日本人の仕事が奪われるだろう。これは、移民問題で悩む欧米で起きていることだ。

当然、日本を支配しようとする勢力は、英語化を推進するはずだ。日本人が伝統的な生活スタイルや価値観を維持することが、実はグローバル化をくい止めることにつながっているのである。

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