アパレル業界が縮図。日本をダメにした「グローバル化」と復権のカギは?

 

6.地域コミュニティは生活安全保障

安心安全な生活を持続するには、外国に依存せず、貨幣経済にも過度な依存をしないことだ。地域コミュニティを大切にして、日常的にモノのやりとりを行うことは、無駄な行為のように思えるが、実は重要なことだ。お土産のやりとりや、料理のやりとりをすることは、非常時のコミュニティの基盤となるからだ。

同様に、お祭りも重要だ。神社に寄付をして、一緒に神輿を担ぎ、一緒に酒を飲む。お金を稼ぐ仕事以外の行動が生活の安全保障につながっている。

お金以外のやりとりがある社会では、お金を稼ぐ仕事だけではなく、地域に貢献する仕事がある。それが地域コミュニティの基盤である。堅固な地域コミュニティの基盤があれば、地産地消が定着しやすい。多少価格が高くても、友人や知り合いから買った方がいいという気持ちが芽生えれば、地域での起業も容易になる。

グローバリズムが崩壊した後は、地域コミュニティが重要になる。一度捨て去ってしまった地域コミュニティ活動をいかに復活させるかが重要だ。

7.ローカルブランドの育成

グローバリズムの時代はグローバルビジネスが主流だった。グローバルビジネスでは、世界で最も安く作れる地域で生産し、最も高く売れる地域で販売することが基本だ。この考え方では、常に低コストの地域を求めて生産地を移転し続けることになる。

日本のアパレル生産は、最初は都市部で始まり、次に地方に移転した。そして、台湾、韓国に移転し、最終的に中国に行き着いた。中国生産が不安定となった現在、更に東南アジアへの移転を考えている。

こうしたビジネスはサスティナブルではない。遠距離から貨物を運ぶことは二酸化炭素を増やすことでもある。次から次へと生産拠点を買えることは、地元の経済を不安定にして、貧困を生み出すことにもつながる。今後は、ビジスの発想を変え、ブランドの発想も変えなければならない。

世界は一つの価値観でまとまってはいない。多様な価値観を持つ多様な国と地域、多様な人種や宗教が共存している。従って、本来はそれぞれの地域で地産地消を進めるべきだ。それこそがサスティナブルなビジスである。

ローカルで開発して、ローカルで生産し、ローカルで消費する。ローカルな雇用を守り、ローカルな経済活動を活性化する。こうした草の根的なブランド開発、ビジネス開発を推進していきたいと考えている。

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