これが中国政治だ。日米貿易摩擦の影に見え隠れする隣国の「裏工作」とは?

Metal badge with the flag of China on a suit lapel
 

80年代後半になると、この排日運動は全米に広がり、日本車の新車や、ソニーやパナソニックなどの新品の製品が広場に大量に持ち込まれて、大勢の前で火をつけて焼かれるといった報道も行われるようになりました。米国民が、日本対して、また日本製品に対してたいへんな怒りをあらわにしているとされるようになり、これが日米間の大きな問題になりました。

けれど、ちょっと考えていただきたいのです。日本車の新車や、ソニーやパナソニックなどの新品の製品は、わざわざ箱から出して燃やされるのです。当然、それらの品物は、自動車を含め、新たに買ってきたものです。しかもこの当時、広場に集まった群衆には、日当が払われていたという話もあります。

要する誰かが、そのデモに資金を与えていたのです。

90年代になると、日本企業が米国内で財力を持つようになる一方で、日米貿易摩擦が深刻化しました。全米では、たとえばハリウッド映画に日本企業はずいぶんと出資していましたが、米国内では「ハリウッド映画はアメリカの魂だ。魂を日本に売り渡すな」といった、見当違いな主張が幅を利かせるようになりました。

おもしろいことに、米国市民の間には日本製品も日本企業も日本人も、信用があり、信頼され、東洋のどこの国の人間よりも日本人は信用されていました。この頃のハリウッド映画は、アクション映画その他で日本人の役柄の俳優が登場するものが数多く作られていますが、本物の日本人もしくは日系アメリカ人がその役を演ずることは少なく、どういうわけか、中国人が日本人役で登場するようになりました(これはいまでも続いています)。

もともと白人には、東洋人の見分けが付きにくいところへもってきて、中国人顔を日本人顔として刷り込むことで、日本人が米国内で築いた信用を、容易に奪いやすくなるという、実はこれもまた工作です。

こうして、およそ25年の歳月をかけて行われた中国の工作活動によって、2000年当時には日本の8分の1しかなかった中国経済は、そのわずか10年後の2010年には日本の3倍に成長することとなりました。

理由は簡単で、日米貿易摩擦が演出された結果、日本が直接米国に製品輸出することが規制され、日本企業は対策として、中国に工場を作り、日本からは原材料を提供して中国製品として米国への輸出が行われるようになったことです。

中国経済は、この10年で24倍に成長しましたが、それは別な言い方をするならば、日本経済が、本当は成長したはずの利益を、中国が奪った、という言い方もできるわけです。

これが「政治」です。

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