読む人の心をざわつかせない。なぜ文筆家は「静かなサイト」を作ったのか?

 

■内容的にも

上記をさらに発展させれば、たとえ広告表示がなくても、そこに書かれている文章が「騒がしい」のならばカーム・サイトとは言えないでしょう。簡単に言えば、炎上目的で極端な意見をズバズバ書き込む文章はカーム・サイト向きではありません。

その意味で、カーム・サイトは読む人の心を不必要にざわつかせることはしません。もちろん、何一つ心の動きが起こらないなら、そもそも読む必要がなくなってしまうわけで、静かすぎるのは考えものでしょう。しかし、心に動きを作るにしても、その「作り方」にはいくつものやり方がありえます。カーム・サイトは静かな声で、人の心を静かに動かすことを目指します。

■通知もしない

同様に、カームサイトは認知資源を奪うことを避けます。たとえば過剰な通知を投げることをしませんし、SNSへの共有を促すこともしません。共有自体を禁じるわけではないのですが、Webサイトの画面においてそれをプロモートはしないのです。

Knowledge Walkersでは、その静かさをよりラディカルに目指しています。具体的には、ブログで見かけるRSSフィードを設置していません。よって、RSSリーダーに登録してもらい更新があったら情報が自動的に読者に届けられる、ということもありません。読みたい気持ちになったとき、自分で読者に訪問してもらう形になっています。

また、フィードがないので、SlackやDiscordへの自動投稿できません。知らせる必要があれば、自分の手を動かしてその投稿を行う必要があります。これは面倒ではあるのですが、その代わりに受け手が「通知が溜まってしまって精神的にしんどいことになる」が回避できます。これはよいことでしょう。

さらに、書き手側から見ると、読者に通知がいかないので何も気にせず更新が行えるメリットがあります。ほとんど更新をしなくても誰も気にしませんし、過剰に更新してもそれが読者の負担になることがありません。書き手はただ書き、読み手は必要に応じてそれを読む。そんな形になるのです。

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