かれこれ10年間、こうした若者の生きづらさや希死念慮について、社会に訴え続けてきたけれど、若者の自殺率は減るどころか増え続ける一方。
「死にたいと生きづらさを抱える若者へ」とメッセージを発信しLINEのアカウントをブログやSNSに公開し相談活動を始めたのは11年前。
その頃は、どれだけ訴えても「そんな子はいるんですか?」と言われてきましたし、当時は私を応援してくれてた経営者さんが、テレビ局の人に私を紹介してくださっても「良いことしてるとは思うのですが、テレビで取り上げるにはテーマが重たくて…すみません」と何度も言われたものでした。
どれだけ若者たちのケアを訴えても、みんな目を背ける…見ないようにする…そんな時代が続いていました。
流れが変わったのは、2018年に起きた座間市でのバラバラ殺人事件からで、Twitterで死にたいと言ってる子を呼び出して何人も惨殺するという事件から「そんなに死にたい子がいるのか」とやっとメディアが取り上げるようになったのです。
その時に一斉に世の中がLINE相談を取り入れるようになり、長くLINE相談をしていた私は日経新聞さんから「一番長くLINE相談をしてるのは岡田さん(当時の苗字)でした」と取材依頼があったのもこの時でした。
ただ、この時に私自身は「結局世の中は利権なんだ」と思うような出来事を知るのですが…(この話は次回に)。
そんなふうに長く若者の自殺というテーマを、重たいからと蓋をされてきた中で、やっとメディアが取り上げるようになってから5年が過ぎても、こうして若者の自殺は止まるどころかショッキングな形で増え続けています。
うちに来る相談でも「死にたい」と希死念慮を抱えた子の相談は圧倒的で、女の子に限らず男の子も居場所がなく悩んでる子が多く、原因は学校のことやイジメなど多岐に渡りますが、根本的な原因として私が長く訴えているのは「家庭環境のこと」。
虐待やネグレクトのような問題のある家庭はもちろんですが、多くは虐待のような家庭というよりも、側から見ると一般的な普通の家庭の親子関係なのですが、例えば親御さんが忙しくなかなかコミュニケーションを取れる時間がないお家だったり、両親が不仲で家が安心できる環境でなかったり、いつも親が不機嫌で怒ってばかりだったり、そうした家庭で親御さんの顔色を伺って生きてきた子も今の時代とっても増えています。
決して親御さんに悪気がなく、お子さんを本当は愛していたとしても、日頃の毎日の中で、ついお子さんとのコミュニケーションや会話を後回しにしてしまったり、親子だからとキツく当たってしまったり、そうした日々の中で「家に居場所がない、自分は誰にも愛されない」と自己重要感を下げてしまい、生きてる意味すらも見いだせなくなってしまう…そのような若者が後を絶ちません。
今回の若者2人がどんな家庭環境だったかはもちろん分かりませんし、家庭環境が原因だとは決して思いませんが、10年以上若者の相談を続けて何万人と見てきて、親に無条件の愛情をたっぷり受け、親に愛されてると心から感じられてる子で「死にたい」と言ってる子に未だひとりも会ったことはありません…。
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