挨拶の代わりなのに…職場での「握手」や「ハグ」で訴えられた

 

では、その行為が「セクハラか、そうでないか」はどう判断すれば良いのか。

一言で言うとすれば、非常に漠然とした言い方にはなりますが「相手が嫌がっている(であろう)行為はセクハラ」と考えるのが一番良いでしょう。

例えば、性的な冗談に対してセクハラという話をすると、「ただの冗談なのに…」と言う人がいます。

そこには「それは冗談である」という言った側の視点しかありません。

「それを聞いた人はどう感じるか」という相手の視点が完全に抜けているのです。

これがセクハラにつながります。まずはこの視点を持つことが重要でしょう。

ただ、難しい問題もあります。

例えば、ロングヘアだった女性社員が、髪をバッサリ切ってショートヘアにして出社したとします。

その際に「似合っているよ」は、セクハラになるのか?

これはこの裁判でも取り上げられていますし、某厚生労働省のガイドブックには「避けるべき行為」として出ていた気がします(すいません、うろ覚えですが…)。

ただ、です。

ロングヘアだった女性が思いっきりショートヘアで出社してきているのに、何も反応しないのもどうなんでしょうか。

それも逆に不自然な気もします(それに対して「似合っているよ」が適切かどうかはわかりませんし、誰が言うかや、その言い方も影響しますので判断が難しいところですが)。

相手の気持ちを考えない「無自覚なセクハラ」はもちろん大問題ですし、現状ではこれが大半です。

これは決して許されることではありません。

ただ、なんでもセクハラと言ってしまう「過剰なセクハラ」も、社内の雰囲気をギクシャクさせてしまうような気もします。

そうならないように日頃のコミュニケーションを大切にしたいですね(これはある程度のセクハラは許容せよ、という意味ではもちろんありません。念のため)。

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【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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