「日本消滅」を目標にする可能性も。中国の“覚悟”を侮ってはいけない理由

 

その突出した現象の一つが馬英九台湾元総統による訪中(3月27日から)だ。与党・民進党から政権を奪いたい国民党の馬がなぜこの時期に訪中したのか。その意味は一つしかない。大陸との安定した関係の構築には台湾内部にも一定のニーズと支持があるからだ。

日本の報道だけみていると、中台は常に争っている印象しかない。しかし、実際はたくさんの個人や団体が足しげく中国を訪れ、共産党との接触も盛んなのだ。例えば、昨秋の党大会から台湾の現場を任されている宋涛は、この10日間で台北のオリンピック委員会の関係者、中華民国全国工業総会の苗豊強副理事長を率いる起業家グループ、企業のトップ、台湾の地方議会の議員の訪門団を北京で迎えている。

また、これと同時並行して対岸の福建省を筆頭に、上海市や山東省、浙江省、広東省など地方政府が窓口となって台湾からの訪問団を向え入れているのだ。政治的対立があるとはいえ、台湾経済は大陸なくして成り立たないのだから当然だ。

今年の第一四半期をみても中国経済が急回復していることは手に取るようにわかる。だからこそコロナが落ち着いたと同時に訪問団が大挙して押し寄せているのだ。

そんななか中国の商務部は、4月12日から台湾に対し貿易障壁に関する調査を行うと唐突に宣言し波紋を呼んだのだ。その真意を国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は、「台湾は長期にわたり大陸からの輸入品に一方的に輸入制限し、いまでも2455品目を制限している。中国も台湾もいずれもWTOに加入しているのだから、その基準に従い制限を解除すべきである。商務部の調査は正当かつ理にかなっている」と定例会見で説明した。

しかし、台湾の輸入制限の問題はもう10年以上前から議論されてきたことで、いま中国側が持ち出す裏には政治的な意味が勘繰られても不思議ではない──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年4月30日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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