世界一とも称される豊かな食文化で知られる中国。そんな国にあって全土から人材が集まる深センでは、どんな料理が楽しまれているのでしょうか。今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』では現地に長く住むMochiさんが、深センのグルメ事情を紹介。さらにMochiさんが感じているという「深セン人の気質」を綴っています。
『華南の風』中国・深セン【24】深センの食について
皆さんこんにちは!深センはとうとう連日30度オーバーの季節が始まりました。これで湿度は70-85%なのでまぁ蒸し暑いです。
今日は深センの食について書いてみようと思います。
中国は広いだけあって各地方に特色のある料理があります。
広東料理と四川料理は日本でもご存じの方が多いと思います。
では広東省の中にある深センは広東料理がメインかと言えば、そう言い切れないほどいろんな料理があります。
これは深セン在住者のほとんどは広東省以外を実家とする人達だからです。省都である広州市の生活用語が広東語なのに対し、深センでは普通話(いわゆる北京語)が話されるのと同じ理由です。
出身別では湖南人、四川人、広東人が多いので街中には自ずとこれらのレストランが多くを占めます。
湖南料理、四川料理、どちらも辛いことで有名ですが、明確な違いは山椒を入れるか入れないかです。こちらの山椒は日本で鰻に掛ける山椒とは異なり、食べると口が麻痺したような痺れる感覚があります。これが辛いのと相まっているのが四川料理。
湖南料理はこの山椒を入れず各種唐辛子がメインなので非常に辛くなります。現地のお土産でも「微辣」というピリ辛を意味するレベルでもMochiにとっては辛すぎます。そのため会食が湖南料理だったりするともう滝汗状態で食事どころではありません。
中国には省を表す字があります。
例えば湖南省は「湘」、四川省は「川」、広東省は「ユエ(奥の字の下半分が弓)」。ですからレストランの名前にこれらの字が入っていれば何料理のレストランかすぐにわかるのです。因みに車のナンバープレートも登録された省の字が入っています。
そんな各省から来た人達で構成される深センは本当に各地の料理が多く、バラエティに富んでいます。そして舌が肥えているので美味しくないお店は客が寄り付かず、すぐにつぶれてしまいます。Mochiのオフィス付近の食堂街で、13年前に来た当時から残っているお店は2軒しかありません。
生き残っていくには固定客をどれだけ掴み続けられるかが鍵です。「あの店は味が落ちたからもう行かない」とスタッフが言った店は本当に2、3ヶ月でつぶれてしまいます。
あと私の個人的な感覚ですが、深セン人は単に味にうるさいだけでなく、飽きっぽいのではないかということ。
せっかく見つけたお気に入りの店がいつの間にか客足が減り、無くなってしまいます。「美味しいものは美味しい」で定番食になっていいじゃないかと思うのですが、深セン人は新しい店、新しい味に惹かれるようです。
ざっと挙げてみると「干鍋」という唐辛子をふんだんに使った炒め物(干すという字が入っているだけにスープが無い)、「小龍蝦(ザリガニ)の炒め」(ビールによく合う!)、「酸菜魚」という四川省の酸っぱしょっぱい漬物ベースの魚のスープ。
残ってはいるけどどれも一時期よりは店舗数が減ってしまいました。
さて次に流行るのは何でしょう?
(『出たっきり邦人【アジア編】』6月10日号より一部抜粋)
著者/Mochi(「『華南の風』中国・深セン」連載)
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