なぜ、これからの時代は野菜や魚を「ビル」で育てるのが当たり前になるのか?

sale at the port fish market of freshly caught mackerel in their boxes, Scomber scombrussale at the port fish market of freshly caught mackerel in their boxes, Scomber scombrus
 

連日35度以上の暑い日が続いていますが、かつてここまで暑い日は珍しく、こうした気候変動の激しい現代は、農業や漁業において生産物を安定供給することも難しくなっていきているのが現状です。そんな中、新しい試みを紹介しているのは、メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさん。今回、佐藤さんは野菜や魚の生産を「ビル」でおこなっている事例を紹介しています。「ビル育ちのサバ」が普通に食卓に並ぶ日も近いのかもしれません。

魚も野菜もビル育ち!? 次世代の産業に期待するもの

いま、食を取り巻く環境は大きく変化しています。

海産物を扱う現場では、異常気象による海水温の上昇、海流の変化などにより、魚種や漁獲量が安定しなくなっています。

農産物を扱う現場では、不安定な気候や自然災害などにより、価格が乱高下したりします。

また、このどちらの現場にも共通しているのが、人手不足や物流問題。

そして、世界情勢の不安定がもたらす、経費の増大。

このようなさまざまな問題を抱える分野では、商品を安定供給するための試みが始まっています。

こうした不安定要素に影響されない、魚の養殖や野菜の栽培です。

従来型の養殖や栽培では、外的要因に配慮する必要がありましたが、それを遮断できるよう、閉鎖的空間で行っています。

それは、「ビル」の活用です。

“自然”に影響されない場所なので、リスクを低減し、安定した供給を行うことができます。

現在のような、あらゆる面で不安定な社会では、今後ますます必要になる技術ではないでしょうか。

野菜のビル栽培は、先行して始まっていますが、生産面では成功しているものの、まだまだコスト面に課題があります。

しかし、これは規模の拡大により、解決するはずです。

そして、最近始まったのが、魚のビル養殖です。

サバ専門店を運営する会社が、雑居ビルの一角で始めています。

「完全閉鎖型陸上養殖」と呼び、人工種苗のサバの稚魚から完全養殖しているのです。

これにより、漁に左右されない安定供給はもとより、寄生虫アニサキスの心配がないサバを送り出すことができるのです。

つまり、生食ができるサバなのです。

まだ研究段階なので、自社のサバ専門店に一部を提供するに留まっていますが、近い将来に期待が掛かるところです。

他の魚介に関しても、海以外の場所で養殖されてはいます。

町はずれであったり、山の中だったり。

これらも街中のビルで行うようになれば、たくさんのメリットが生まれます。

まずは、輸送コスト。長距離配送せずに、近くで販売できます。

さらに、空きビルの活用。都会では空きビルが多くなっているため、安く借りることができます。

そして、人材が確保しやすくなります。普通の会社に勤める感覚で、農業・漁業に携わることができます。

また、ビル養殖・ビル栽培では、コンピュータで管理・運営できるため、肉体労働が少なく、高齢者や身障者でも働くことができます。

取り組みはまだ始まったばかりですが、期待値の大きな次世代産業ではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント)この著者の記事一覧

なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座 』

【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • なぜ、これからの時代は野菜や魚を「ビル」で育てるのが当たり前になるのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け