「トイレで女性が襲われる」性的少数者への差別デマを吹聴する“保守論客”の名

Kasumigaseki,,Tokyo,/,Japan-october,28,,2019:,Ministry,Of,Economy,,Trade
 

トランスジェンダー職員の女性トイレ使用を制限した経産省に対して、違法判決を下した最高裁。誰もが自分らしく生きられる社会の実現に大きく寄与するこの判決ですが、どうしても受け入れられない向きも存在するようです。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、漫画家・小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、「経産省トイレ使用制限違法判決」を猛批判する論客の主張を紹介。その内容を幼稚で差別意識丸出しの戯言とバッサリ斬っています。

差別したい八木秀次氏の経産省トランスジェンダー叩き

性的マイノリティーの人たちの職場環境に関する訴訟で、7月11日、初めて最高裁が判断を示した。

経済産業省に勤め、女性として生活している50代のトランスジェンダーの職員が、職場の女性用トイレの使用を制限されているのは不当だとして国を訴えていた裁判で、最高裁が「トイレの使用制限を認めた国の対応は違法」との判決を下したのだ。

原告の経産省職員Aさんは、2009年に「性同一性障害」と診断され上司に相談。健康上の理由から、性別適合手術は受けられず、戸籍上は男性のままだが、職場での説明会を経て、女性用の休憩室や更衣室の利用が認められた。

ただし、トイレについては、職員の執務室があるフロアから2階以上離れた女性用トイレしか使用が認められず、人事院に処遇の改善を求めたが、退けられたため、訴えを起こしていた。

「2階以上離れたトイレ」に限定された経緯はこうだ。

説明会の際、Aさんが退席した後、担当者が職員たちの意見を求めたところ、「数名の女性職員がその態度から違和感を抱いているように見えた」という。そこで、担当者が、1つ上の階の女性トイレを使用してもらうのはどうかと案を出した。すると、1人の女性職員が、自分は日常的にそのトイレを使っていると述べたという。

そこで、経産省では、Aさんに対して、執務階とその上下階のトイレの使用を認めず、それ以外の階の女性トイレの使用を認めたらしい。

Aさんは、この説明会が開かれるまでは、男性の服装で勤務していた。

トランスジェンダーに対する社会的な理解も乏しいなか、戸惑って即座には受け入れがたいという様子を見せた人もいたようだ。

説明会の翌週から、Aさんは、女性の服装で勤務するようになり、2階以上離れた女性トイレを使うようになった。他の職員とのトラブルは一切起こらなかった。

2年後の2011年には、Aさんは家庭裁判所の手続きを経て、名前を女性らしいものに変更し、職場でもその名前を使うようになった。

さらに2年後の2013年末、Aさんは、トイレの使用に関する経産省の措置を不服として、他の女性職員と同等の処遇を人事院に要求。だが2015年、人事院は要求を拒否したため、法廷闘争となった。

1審の地裁ではAさんの訴えが認められたが、2審の高裁では、「経産省の処遇は、全職員にとっての適切な職場環境を構築する責任を果たすための対応」として逆転敗訴。

だが、最高裁は2審を覆し、5人の裁判官全員一致の結論で「国の判断は他の職員への配慮を過度に重視し、Aさんの不利益を軽視したもので、著しく妥当性を欠いている」と結論付け、違法と判断した。

主な理由として列挙されているのは、以下の通りだ。

  • Aさんは性同一性障害と診断され女性ホルモンの投与を受けている。執務室から離れたトイレを使用せざるを得ない状況は「日常的に相応の不利益を得ている」
  • 2階以上離れた階の女性トイレを使用していてもトラブルは生じていない
  • 説明会では、一部の女性職員が違和感を抱いているように「見えた」に留まり、明確に反対している職員はいない
  • ほかの職員に事情を説明してから、人事院の判定が出るまでの4年10か月の間、経済産業省が対応の見直しを検討しなかった

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