小学生の頃に算数で習った「最大公約数と最小公倍数」。これが、会議や議論の際に重要になると話すのは、メルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』の著者で作家、国史研究家でもある小名木善行さん。答えが最大公約数になってしまう人と公倍数を求めることができる人達に生まれる差とは。
最大公約数と最小公倍数
小学5年生の算数で習うことに、「最大公約数と最小公倍数」があります。
たとえば、8個のチョコと、12個の飴を同じ数だけ袋に分けるとき、どちらもあまりなく分けられるのは何袋のときか、といったものが公約数です。このなかで最も数の多いものが最大公約数です。
8と12のときの答えなら、1、2、4が答えで、このうち4が一番大きな数ですから、最大公約数は4となります。
公倍数は、簡単にいえば2と3の両方の倍数になっているもので、この場合なら、6、12、18、24…と、あとは無限に数が大きくなっていきます。そしてこのなかで、最も小さな数が6ですから、2と3の最小公倍数は6が答えです。
不思議なことに、会議や議論を行うときに、なぜかしらないけれど、答えがいつも最大公約数になってしまう人たちがいます。AさんもBさんもCさんも、それぞれに良い意見を持っているのに、議論したら3人が共通できるところだけが落とし所になるのです。つまり、求める答えが、3人が納得できるもっとも程度の低いところにしかまとまらないのです。
一方、会議をしたり議論をすることで、公倍数を求めることができる人達がいます。3人で議論すると、それぞれが自分の思っても見なかったような見解を持っていることに気付き、それによって互いに役割分担をしながら、より大きな展開にしていく人たちです。
Aさんは6、Bさんは12、Cさんは4の意見を持っていた。議論した結果、みんなで2だけをやることにした。なぜなら、みんなで共通できた意見は2だけだったから。
これは残念です。なぜなら、Aさん、Bさん、Cさんは、実現しうるもっと大きな可能性を持っているからです。これでは才能の無駄遣いです。
そうではなく、Aさんは3、Bさんは5、Cさんは2の意見しかなかったけれど、3人集まったら、公倍数の論理で、なんと30の仕事をすることができるようになって、みんなびっくりした。そういうこともあります。
このブログや、動画などにおいて、異なる意見があったら、真実はその中間にある、ということをいつも申し上げています。けれどその答えは、どちらか一方に寄るというものではありません。公約数にしてはいけないのです。公倍数にする。3と5と2という異なる意見を合わせることで、公倍数の30を得るのです。
これが議論の意味です。これがわからないと、意見は、ただのつぶしあいになります。
だいたい、どんな人でも、自分の人生を振り返ってみれば、99%失敗の連続です。なかには99.9999%失敗の連続という人もあるかもしれない。けれど、残りの0.000001でも良いから、そこにある成功を掴む。それが人生だと思います。
その成功の確率が小さなものであればあるほど、リターンも大きい。経済的に成功している人、学問分野で優れた成功を収めた人、すべて、限りなく失敗の連続の人生の中で、ほんの微細な成功のきっかけを得た人です。
だからこそ、議論は、常に公倍数を求める。そういう姿勢が大事なのだと思います。
日本をかっこよく!!
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