日本に遅れをとれば未来は暗鬱。韓国で進まない「外国人労働者」の確保

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日本以上のスピードで少子化が進み、労働者不足に頭を痛める韓国。そんな隣国から見て、我が国の人材確保政策はどのように映っているのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、日本の海外人材への門戸拡大政策を好意的に伝える現地メディア掲載記事を紹介。その上で、自身の母国に対する偽らざる心情を吐露しています。

「選ばれる国」を目指す日本

東京で外国人労働者に最も簡単に出会うことができるところはコンビニだ。外国人らしさが感じられる東南アジア人が最も多い。中国人や韓国人の場合は、名札を見るまでわからないことが多いけれど。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行前には、24時間3交代勤務するすべての店員が外国人であるコンビニもあった。

大都市のコンビニで毎日外国人に接する日本に比べ、主に工業団地や農村に多く(外国人労働者が)分布する韓国は、外国人労働者の体感水準が違う。総人口対比外国人労働者の割合は韓国1.6%(84万人)、日本1.4%(182万人)と似ているが、現実の世界で肌で感じる体感には差がある。

外国人労働者が身近だからだろうか。日本の海外人材の門戸拡大政策の足取りは日増しに速くなっている。日本最大の経済団体である経団連は、日本が「外国人に選ばれる国」にならなければならないとし、政府に制度改善を求めている。経団連は「5年以上働けるようにしてこそ企業が役員登用まで考え中長期人材育成ができる」と主張する。雑用ばかり任せないということだ。

小さな制度一つを改善することにも慎重な日本だが、外国人人材の拡大においてだけは「日本らしくない」ほど早い。この30年間、外国人人材確保政策の中心だった「技能実習制度」は廃止が既成事実化された。この制度は「発展途上国に技術を伝授する国際貢献」という見てくれはいいが虚勢だけ立派で外国人人権を侵害し労働力を搾取したという指摘を受けたりもした。

その代わり、日本政府は今年に入って「特定技能2号」の拡大を推進中だ。建設業、造船業のように人手不足が深刻な業種を指定し、外国人労働者を受け入れる制度だ。

滞在期間の制限がなく、家族を連れてくることもでき、永住権も取れる。自民党保守派は「事実上移民許容」と反発しているが、大勢はその方向に傾いている。本格的に議論が始まってから1年も経っていないのに、今月に入って老人の世話、タクシー・バス業界などで「私たちも許容してほしい」と要請する状況だ。

高度人材ビザもある。情報技術(IT)従事者や上位大学出身、修士・博士学位者に加算点を与えながらビザ取得を促す。日本企業がこのビザを活用して韓国で人気のIT開発者を「招いた」事例はもうニュースでもない。昨年まで約3万8000人の韓国人が恩恵を受けた。

高度人材ビザ取得者は、日本で普通の日本人より待遇が良い。通帳一つ作るのに2週間前から予約して待たなければならない国で、高度ビザを取得した外国人には低い金利で住宅担保融資をすると銀行営業社員が査定する。

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