世界に漂い始めた「第三次世界大戦」の兆候。ガザ危機で日本と中国が試される理由

 

経済失速が著しい今だからこそ「説得」容易な中国

また、テロ事件などで政情不安定になる欧米諸国での生産ができなくなることも考えられる。欧米諸国にはイスラム系移民が大量に入り込み、キッシンジャー元国務長官は、ハマスのイスラエル攻撃を祝うドイツのイスラム系移民の光景を見て、「まったく異なる文化、宗教、概念を持つ非常に多くの人々を受け入れたのは重大な間違いでした。なぜなら、それを行うことで各国の内部に圧力団体が生まれるからです」という。

このアラブ系移民を日本は、ほとんど入れていない。クルド系トルコ人を入れているが、多くの問題を起こしている。ということで、イスラム系移民・難民は絶対入れてはだめだ。

そして、戦争経済で活況になるのは、東アジアでの戦争がない平和が続くことである。日本も中国も平和であれば、両陣営からそれぞれ機器の注文が来るので、景気が良くなる。

このため、中国で銀行への取り付け騒ぎが起きるなど中国経済失速時でもあり、この戦争経済で、経済回復できる良い機会だと中国を説得できるはずだ。

次なる世界秩序作りに貢献できる日本の文化

日本は、欧米諸国とは違い、イスラエルへの負の遺産がない。欧米はユダヤ人迫害の贖罪のため、パレスチナの地にイスラエルという国家を人工的に作り、そこにユダヤ人を送り込んだ。このため、そこに住んでいたパレスチナ人達が、祖国を追われたことが始まりである。

しかし、日本は、欧米と同じような価値観を持っている。自由や民主主義や市場経済という普遍的な価値観である。

しかし、この価値観を他国に押し付けることもしていない。戦前は八紘一宇などを日本は押し付けることもしたが、戦後は欧米と同じ価値観を持つだけで、他国に押し付けたことはない。

欧米は、この価値観を多くの国に押し付けている。このため、多くが実情に合わないために、反発されている。

日本の役割は、現地の実情と普遍的価値の両立を図ることで、世界秩序を回復させることであろう。海外青年協力隊などが世界で活躍しているが、他国とは違い、現地に溶け込んでいる。

日本は、現地を「知」と「情」という2つの側面で見る感覚があり、日本も欧米文化を日本化して取り入れてきた。これを他の文化圏でも実行すればよいだけである。

日本は多神教であり、いろいろな考えを取り入れるベースがあり、多様化してきたのである。この考え方が欧米以外の国で必要になっている。

この日本が行って、東南アジアは普遍的価値を取り込むことができたので、大発展しているのだ。これは、東南アジアも仏教文明であり、多神教であることが幸いしている可能性もあるが、日本の工場進出に伴う社員教育が国の文化を変えたことによる。

日本が世界に出ているが、覇権を取ることはできない。覇権には4つの条件が必要になる。軍事力が他を圧倒すること、経済力が他を圧倒すること、文化・思想レベルが他国に比べて高く、その文化・思想を広めようとすること、世界への支配体制を確立していることの4つである。

日本は現時点で、軍事力も経済力も他を圧倒していない。

このため、覇権国になることできない。

しかし、中国のような自由でもなく民主主義でもない独裁国が、覇権を取ると、人間の尊厳を壊し、人間の進化を止めることになる。

ということで、普遍的価値を共有する国が、共同で新しい世界秩序を作るしかないし、より多くの国に普遍的価値を広めることである。

この広めるのに、日本文化が貢献できるはずとみている。米国の政治的混乱、累積債務の多さを見ると、米国は、近々覇権国ではなくなることが確実である。どう、次の世界秩序を作り、運営するのかを考える必要になっている。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2023年10月16日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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